6秒待つ、怒りを点数化する「キレないテクニック」
──さらに具体的なシチュエーションで聞きたいんですが、たとえば、上司や先輩から理不尽な理由で怒られることってあると思うんです。そういうときってついイライラが顔に出てしまいそうになるのですが、どうすればいいんでしょうか。
- 小尻
-
まずは反射しないように6秒待って、とお伝えしています。怒りを感じた直後がピークで、少し待つことでクールダウンしていくんですよ。だからまずは、反射的に余計なひとことを言ったりモノに当たったりしないように、6秒間待つことを意識してください。
──待っている間にイライラしそうになったら、どんなことを考えればいいんでしょう?
- 小尻
-
モチベーションが上がる言葉や落ち着く言葉を自分自身に向かって唱える、というテクニックがあります。「私なら頑張れる」や「大丈夫、大丈夫」でもいいですし、「これはあとからネタになる」など、自分の気持ちが上がったり、落ち着くことばであればなんでもいいんです。そうして6秒待つと、このあとどうすべきかを理性的に考えられるようになります。
──他にも、反射的に怒りを態度に出さないためのテクニックってありますか?
- 小尻
-
分かりやすいのは「口角アップ」。これは、イラッときたときに口角をキュッと上げるようにするというだけなんですが、口角の筋肉が上がると脳が「嬉しい」と勘違いして、気持ちが少し上向きになるんですよ。
それから、「スケールテクニック」。これは何かに怒りを感じたとき、その怒りに1点から10点までの点数をつけるというテクニックです。怒りをコントロールするのが難しいのは、自分がいまどのくらい怒っているのか? という尺度がないからなんです。 怒りにも、些細な「イラッ」から腸が煮えくりかえるような怒りまでありますよね。その大きさを数値化していくと、自分の怒りのパターンが見えてきて、怒りに対処しやすくなります。
──たしかに、どんなシチュエーションに強い怒りを覚えるかって、意外と人によってバラバラですよね。
- 小尻
-
そうなんです。自分が高い点数で怒りを感じることの傾向が分かってくると、「私は返信がないと気になるタイプだから、スタンプだけでも返してほしい」と相手に伝えるという対処がとれますよね。
怒りっぽい恋人はどうしたら変えられる?
──自分は完璧にアンガーマネジメントできたとしても、恋人がすごく怒りっぽくて疲れてしまう、というケースもたぶんありますよね。そういうときって、どう対処すればいいんでしょうか?
- 小尻
-
そうですよね。アンガーマネジメントを身につけていけばいくほど、「この人にはアンガーマネジメントが必要だな」と思う人がたくさん出てくるんですよ。でも、そういう人ってあんまり自分から変わろうとしないんです。
──うう……。実際に私も、過去に付き合っていた人がそういうタイプでした。
- 小尻
-
他人を更生するのは本当に難しくて、結局のところ、自分が変わるしかないんですよね。
もしもパートナーがあまりに怒りっぽくて自分の身に危険が及ぶようだったら、当然ですが物理的に距離を置くべきです。そこまでの怒りっぽさではないようなら、相手をよく観察して、相手にどんな「べき」があるかを探ってください。食事のマナーだったり、連絡のとり方だったり、その人特有の怒りスイッチっていうのがあるはずなので。
──まずは観察、ですね。
- 小尻
-
観察したら、相手のその怒りの裏にある第一次感情を探してみてください。「この人、本当は困っているのかな」「不安だったのかな」と気持ちを理解していけるようになれば、それに応じて自分の関わり方も変えられます。
──なるほど……。自分が変わる努力をしても相手が怒りっぽいままだった場合は、もう距離を置いたほうがよさそうですね。
- 小尻
-
それでも付き合っていきたいと思うんだったら、まあそれは付き合っていけばいいですし。何より大切なのは、「自分はどうしたいのか」と自分の気持ちを確認しつづけることです。