困難に打ちあたったとき、大人はどのように振る舞うべきなのか『大人の流儀』

リナ氏3 Reading alone Ed Yourdon

 大好きな人に思いを伝えたいとき、大切な人を失ってしまったとき、あなたなら一体どのような行動を取りますか?
 本書は作家の伊集院静香が週刊現代に連載していたエッセイをまとめた一冊です。春夏秋冬の4章で構成されており、著者自らの経験を通して大人としての社会での生き方を提案しています。

 例えば、大人の手紙の書き方について指南した「大人のラブレターの流儀」では「人に文章で何かを伝えたいのなら、“誠実と丁寧”が基本だ」と著者は綴っています。字が下手であることは関係ないこと。1文字ずつ丁寧に綴ることが大切であり、「女性で達筆な文字を見ると、少し怖いと思う。いろいろあったのかナ、などと想像したりする」とも書いてあります。
 また、お酒やギャンブルに溺れたというイメージが強い著者ですが、「眠れない夜もどうにか横になれた。どんな生き方をしても人間には必ず苦節が一、二度むこうからやってくる。それがないのは人生ではない。人間は強くて、弱い生きものだ。そんな時、酒は友となる」とお酒によって助けられたエピソードを紹介しています。

 生きていると、辛いこと、苦しいことが振りかかります。生きることに意味を求め、さらに苦しむことも。そして、恋愛があなたを苦しめることもあります。そんなとき、どのような態度で振る舞うのが大人なのでしょうか。
女優・夏目雅子と結婚するも、最愛の妻は27才の若さでこの世を去った。そのことについて作中でこう綴っています。「私の経験では、時間が解決してくれます。だから生き続ける。そうすれば亡くなった人の笑顔を見る時が必ずきます。最後に、数年前に観た映画でのチェチェンの老婆のせりふを紹介します。『あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終りがあるのよ』」と。

本のタイトルとか

書名:『大人の流儀』
著者: 伊集院静香
発行:講談社
価格:¥980(税込)

Text/Yuuko Ujiie