絶対的ヒロイン

 天才に見た目の共通点はありません。特別に可愛い子もいれば、そうでもない子もいるし、性格の良い子も悪い子もいます。でもきっと、必ず何か共通点があるはず。そこで私が思い当たったのは、天才たちの「主役感」です。わかってもらえるでしょうか、この主役感。言葉の通り、天才たちは「主役」として人生を生きているのです。

 人間は1人1人が主役だよ~という考え方がある一方で、私は、私の人生の主役であり、あなたの人生の脇役だというのもまた事実。子どもの頃、まだ自分に全能感を感じていた時はこのことに気づかなかったけれど、大人になるにつれて気付くし、痛いほど感じますよね。私がどんなに恋い焦がれて片思いしても、彼は私をヒロインに選んではくれなかった。彼は私ではなく別の女の子をヒロインに選んだのです。この圧倒的脇役感。心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

 しかし、天才たちは違います。天才は、ヒロインに選ばれなくてもヒロインであり続けるのです。彼が自分を選ばなくても、別の人と交際を始めても、あくまで主役は自分。「彼に選ばれなかったのは、彼は私を傷つけて振る役だったからなの。悲しかったけど、自分の人生にとってこれって必要な章で、この章を経て、次の章へ進むよ。なんならこの恋は伏線だから、あとで回収するねー!」
この感覚です。主役なんです。世界は自分の物語で、何が起きたとしても、それは自分の物語に必要な展開。その展開を天才達は真正面から受け取めて、無邪気に涙を流したりして、そして、その涙を見た男の子は恋に落ちて、完璧な世界一丁上がり~!!

 いいな~天才・・わたしも完璧な世界一丁上がりしたい。でも、それって簡単じゃないんだろうな。天才たちには、絶対に主観の視点を持ち続ける強さがあります。私たち、悲しいことや辛いことが起きた時なんとなくちょっと、環境とかタイミングとか、自分以外のせいにしてしまいませんか?少し視点をずらして、責任を押し付ける場所はないかと探してしまうことって、あると思うんです。でも、天才たちはこれをしません。彼・彼女達はいつでも、「責任は自分にある」と考えるのです。「環境?タイミング?そんなの自分で作るもんでしょ。」強い。真の強者の意見です。「自分の努力次第で物事はどうにでもできる」これを信じられていることが、天才達の魅力の所以なんだと思います。だって、やっぱりみんな、強い人に惹かれるからね。

ロマンチック暴力に付き合ってられない

 どうしても時々、強い人に憧れてしまいます。天才になりたい日もあります。でも、最後に1つだけ、天才に喧嘩売らせてください。主役で居続けるのは別に自由だけどさ、ちょっとヒロイックが過ぎません?貴方のロマンチックに巻き込まれて傷付いた人のこと、たまには思い出してよ。お前の人生に彩りを与えるために生きてるわけじゃないんだよ。

 天才として生まれなかった私たち。それでもモテたいし幸せになりたい。素質で勝てないなら優しさで勝ちましょう。他人の悲しみに敏感に過ごしたいものです。

Text/長井短

次回は<ねぇ、私たちモテたがってもいつもモテないから志向変えない?/長井短>です。
夏は毎年モテたいと思って過ごしてしまうけど、モテた試しがありません。では逆に、モテたいと思わずに過ごしてみたらモテるのでは? 夏のモテの真理を突いた長井短さん。長井短さんが考えた「モテないがゆえに逆にモテる過ごし方」を試してみませんか。