浮世絵の魅力を再発見!『はじまりは国芳 ―江戸スピリットのゆくえ』

 大胆な構図、繊細な描写、鮮やかな色彩、滲み出るユーモア……。
独特の手法と圧倒的な感性で描かれた江戸時代の浮世絵は、世界に類を見ない日本の宝です。

 そんな江戸末期の浮世絵界をリードしたといわれる浮世絵師が、歌川国芳。
近年ますます評価が高まっている彼の、近代感覚にあふれた斬新な造形センスは、一門や系統に受け継がれ、やがて明治~昭和初期の日本画、油彩画、版画などにまで影響を与えました。

はじまりは国芳 歌川国芳(一勇斎) ≪宮本武蔵の鯨退治≫ 弘化4年頃(C.1847)、大判三枚続、多色木版 ※後期のみの展示 Utagawa Kuniyoshi (Ichiyusai), Miyamoto Musashi Kills an Enormous Whale, C.1847, Oban format, triptych, Woodblock print *exhibited from Dec.7

 その国芳と、その後100年におよぶ日本絵画の流れを一気に紹介する展覧会が、横浜美術館で11月3日(土・祝)から開催されている『はじまりは国芳 ―江戸スピリットのゆくえ』です。

 彼の特徴は、雄壮奇抜な武者絵をはじめ、美人画、役者絵、機知とユーモアに富む戯画や諷刺画、洋風の表現を取り入れた風景表現など、その作画領域の豊富さにあります。
≪近江の国の勇婦於兼≫では、西洋の銅版画から取り入れた背景の描写や陰影表現が、従来の浮世絵にはない質感を出しています。
また、≪宮本武蔵の鯨退治≫は、ダイナミックな構図でクジラのド迫力をこれでもかと表現。

はじまりは国芳 歌川国芳(一勇斎)≪近江の国の勇婦於兼≫ 天保2-3年頃(C.1831-32)、横大判、多色木版 ※前期のみの展示 Utagawa Kuniyoshi (Ichiyusai),Brave Woman, Okane in Omi Province (Omi no kuni no yufu Okane), C.1831-32, Horizontal oban format, Woodblock print *exhibited until Dec.5

 中でも本展の注目作は、浅草寺の絵馬堂に奉納されている横約3.7m、縦約2.3mの巨大な絵馬≪一ツ家≫。
めったに門外に出ないこの作品は、浅茅が原の一ツ家の鬼女伝説を描いた迫真の描写が当時話題になったのだとか。
本展ではほかにも、国芳門下をはじめ、彼の系脈につらなる絵師や画家たち総勢約50名による、前後期合わせて約250点の作品がたっぷりと堪能できます。

 日本が世界に誇るオリジナルな文化「浮世絵」、あらためてそのカッコよさにシビれてみては?
外国人の男性をデートに連れて行くときにも、きっと喜ばれますよ!

はじまりは国芳 歌川国芳(一勇斎)≪一ツ家≫ 安政2年(1855)、228.2×372.0㎝、顔料・板・額、金龍山浅草寺蔵 Utagawa Kuniyoshi (Ichiyusai),Votive picture of a Lonely House (Hitotsuya), Color on wood, framed, Senso-ji

展覧会名:『はじまりは国芳 ―江戸スピリットのゆくえ』
開催期間:前期2012年11月3日(土・祝)~12月5日(水)
後期2012年12月7日(金)~2013年1月14日(月・祝)
※展示替えがあります
会場:横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:木曜日、12月29日(土)~1月3日(木)
観覧料:一般1,200円 大高生800円 中学生400円 ※小学生以下無料
問合せ:045-221-0300
URL:https://www.yaf.or.jp/yma/

Text/Fukusuke Fukuda