おひとり旅がもたらすこと
「百聞は一見にしかず」なんて言葉があります。旅に行くと、ほんとうにそうだなあといつも思います。
ニュースになっていることって、その場に行って現地の意見を聞かずには、なにも判断できないと思うんです。テレビや新聞などで報道されている時点で、誰かの視点が入り込んでいるわけですし、文字数や時間の制限のために取材の10分の1しか公開されない、なんてことはざらですし。
1997年に名護で市民投票がありました(もう20年も前なのか……)。米軍のヘリポート建設の是非を問うものでした。まだ美ら海水族館ができるだいぶ前のことで、名護は経済の基軸をどこに置くか揺れ動いていた時期なのだと思います。そこに全くのノンポリ和久井が出向いていって、「ヘリポート、はんたーい!」とか言って反対派のみなさんと街を練り歩きました。反対派事務所にみなさんと一緒に詰めて、開票を見守ったりして。
なぜそんなことになったかというと、沖縄の知りあいが活動家のひとりだったんですね。その方に連れられていったのですが、大変貴重な体験でした。
その方が、ひどく寂れた廃墟のような街に連れて行ってくれました。ドル円が360円固定だった頃、外貨で稼いでいた街だそうです。今では開店している店も少なく、人通りもなくて、忘れられた映画のセットのようなところでした。
そこがどこだったのか、いろいろ調べたのですが発見できず、今どうなっているのかわからないのですが、忘れられない光景です。基地だけに頼る経済がどれほどもろいのかを教えられました。
それまでももちろん、沖縄に基地問題があることは知っていました。でも現地に行ってそれを目の当たりにするまで、なにが問題なのかピンと来ていなかったと思います。
その後、久米島に行ってクラブで飲む機会があったのですが、そこで知り合った人たちが、みんなでその市民投票の話をしていました。
投票について、恐らく東京でこんなに盛り上がることはなかったでしょう。しかもみなさん米軍基地に対する思い出と意見を個々にお持ちなんです。細かいことは忘れちゃいましたが、現地だからこそ聞けた意見だったと思います。
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