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私のために使ってくれた時間までがプレゼント

 好きな人からもらうプレゼントの嬉しさは「モノの良し悪し」ではなく「彼が自分のためにくれた時間にある」、とわかるようになったのはだいぶ後だった。

 今回のお話はわたしの体験に基づいて書いたものなのだけれど、当時「かわいい」と思ったストラップが他の女子が選んだものであるとわかった瞬間の言いようのないあの気持ちは、今でも忘れられない。腹立たしく、そして単純に「イミワカンナイ」と思った。何がそんなに嫌だったのか今になればわかる。

「わたしのためのプレゼントを他の人に選んでもらって、どうするのよ」ということだったのだろう。
そんなの全然意味がない。好きなストラップくらい、自分で買えるんだもの。「あなたのためを考えながら選んだ」というところまで含めてプレゼントなのに。

 10代のころ、男性はこういう失敗をしがちなように思う。友達に選んでもらった、女友達についてきてもらった、などとよく大学生くらいまでは話を聞いたものだった。もちろん「喜んでほしいが故」なのはよくわかるのだけれど、これぞ空回りである。

 誰か知らない女が選んでくれた、女子ウケ抜群の「ジェラピケのパジャマ」よりも、「これ、好きかな」と思ってと照れくさそうに渡してくれる「子供っぽい星型のストラップ」や「匂いがいまいちな香水」なんかのほうが断然嬉しい。

 一生懸命に自分のことを考えながら選んでくれたというその事実が、ラッピングされているように思う。もらったモノを見るたびに彼が一生懸命頭を悩ませたその時間が上乗せされ、見た目以上に愛おしく思える。それこそがプレゼントの良さではないか。

 中学2年生の頃、付き合っていた彼にもらったあのストラップは今でも引き出しの奥に眠っている。一緒にもらったハイビスカスのストラップは、もう見当たらない。

Text/さえりさん