25を過ぎた頃、彼はパタリと妄想から消えた

しかし、だ。不思議なことにその後よく彼を妄想した。進展した訳でも無いその人の、私の妄想への登場頻度は異常だった。登場理由は「色気があったから」としか言えない。すげー妄想した。

しかし、だ。25あたりを過ぎた頃、彼は妄想にパタリと出なくなった。
今、久しぶりに思い出してみる。あんだけ妄想してたんだから少しは興奮してもいいものの、「そういえば、セクシーだって思ってたなあ」と隠居みたいな感覚に陥ってしまう。

どうやら大人の色気マンの代表選手として、斎藤工が居るらしい。まさに大人の色気マンを絵に書いたような人だと、非常に納得できる。でも31歳の私は、どうものぼせず「まあ、色気あると評されるでしょうね」と斎藤工の写真を眺めるのである。

今やなんと、フルハウスのジェシーおじさんまでもを「ええ、いかにもな方だわ」と平常心で眺めてしまうのだ。あの、ジェシーおじさんを!あんなに色気の塊だと思っていたのに!!!!!

男に色気を、感じなくなったのではありません。そんな悲しい状態にはまだ陥ってはいない。ただ、“男の色気マンの色気”は、もう感じなくなってしまった。

かと言って色気は感じていないわけではない

多分今私の回りに居る男達を、10年前の私に会わせたら「あの人も、色気!ちょっとこの人も!」と大はしゃぎするだろう。でも、もう今の私には、回りに居る男達の誰の色気が高いのかもよく分からない。その物差しで見なくなってしまった。
そう、沢山の大人の色気マンと会い、仕事関係を結んだり友人関係を結んだりするなかで、違う物差しで彼らと接するようになり、従来の色気センサーが消滅した。

かと言って、かと言ってだ。私が色気を感じなくなったわけではない。そんなわけあるか。

健康体に、最近色気を感じます。10代の健康体とかすごい色っぽい。

結局、あまり会わない「知らないもの」に色気を感じるのかもしれない。大人の色気マンたちは、もう私にとって未知の存在ではなくて、その中身が想像しやす過ぎる。ミステリアスな部分が無いと、色気としてうつってこない。なんだこの大発見。

だから、私にとってミステリアス極まりない青年たちを見て、「あー色っぺえなあ」と感じるのです。あと、最近たまにフトした瞬間のおじいさんが色っぽく感じる。ほら、やっぱそういうことなんだ!最近、子供とおじいさんが色っぽい。

Text/舘そらみ

初出:2016.03.03

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