次の彼氏と出会ったら、前の人のことを思い出してはいけない?/はくる相談室(5)

【相談】

私には今彼氏がいて、もちろん彼氏のことが大好きです。
ただ、正直な話をしてしまうと、前に付き合っていた彼氏のことを思い出して涙してしまうこともあります。

それは思い出として悲しくなるだけなのですが、やはり恋愛が終わるときには決算をした方が良いのでしょうか?

(けむりさん・21歳)

思い出して泣くことは後ろめたいことではない

はくる 大相談への小さな声 PHOTO/はくる

過去の恋の決算というのは、自分で決意したから出来るというものではないので難しいですよね。
この記事では、意味合いを広げてわかりやすくするために、決算を「清算」と言い換えて話を進めていきたいと思います。

清算にも様々な解釈が存在するかと思いますが、わたしは「清算する」ということと、「キッパリ忘れる」ということは、別のものだと考えています。
そして、相談者様がここで言う清算(決算)が、「今すぐキッパリ忘れるべきか?」という意味で使われているのだとしたら、そうするべきだとは限らないと思います。

わたしの「清算」に対する解釈は、過去を過去として許容することです。
「現在の恋人に失礼ではないか」と感じてしまう気持ちはわかります。
しかし、過去の交際相手との間にまるで愛の関与が一切なかったかのように、または、過去の恋愛が今現在の自分とは切り離されたものであるかのように修整してしまう必要はないのです。

昔の恋愛経験によって学んだこと、または失ったことによって今のあなたがあるはずです。
それは現在の恋愛に繋がっているはずですし、恋愛だけでなく人間性の土台の一部として、今でも息づいていると思うのです。

そう考えると、与え合った影響、そして彼氏の存在すらあやふやなものにすり替えてしまうのは、折り合いの付けかたとして間違っているのではないでしょうか。
今思い出しても泣いてしまうほど真摯に思っていたことは、正しいことのはずなのに、それをないがしろにしてしまうほうがよっぽど悲しいことだと思います。

過去の恋愛を、過ちや寂しさも含め胸の奥で抱きかかえたままでいた方が、わたしは良いと思っています。
そうすれば、あなたの一部を作った過去の恋人、それによって得た自分自身を構成する一要素、そして現在の恋人とのこの先の恋愛のすべてを尊く思えるのではないでしょうか。

泣かないようにと努力するよりも、泣いてしまうことは決して百パーセント後ろめたいことではないのだと考えてみてください。

過去を肯定し認めること、そしてその姿勢自体が正しい折り合いのつけかたなのではないかと思います。