男性を転がすのではなく、自分で自分を食べさせられる“何者”かになるべき
―では最後に、女性が男性を上手に転がして、うまく付き合っていく…というような形になるにはどうしたらいいかを教えてください。
家入:最近よく思うのが、男性には「尊敬されたい人」と「尊敬されたくない人」の2種類がいて、どっちなのかを見極めるのはけっこう大切かなって。リトマス試験紙みたいのがないから難しいんですけど、飲んでいるときとか楽しく会話をしているときに「そうなんでちゅか~」みたいな赤ちゃん言葉を使って、イラっとされたら尊敬されたい人かも(笑)。
川崎:いますね、そういう男性(笑)。ただ、私は男性と世代を超えて友達になりたいタイプなんです。たぶん男性性が強いから、気が合うというか、話をしていてもラクなんですよ。研究対象としても生き物としても女性のほうが男性の何万倍もおもしろいと思っているし、女性のほうが好きなんだけれど、ロジックが近いからか男性のほうが友達になりますね。
でも、「転がす」ってことはそういう友だちでもなく、尊敬している人でもないわけだから、転がさないで済むのが一番いいと思いますね。
家入:「転がす」っていう言い方だと、相手の男性を利用するようなイメージがありますもんね。
川崎:そうでしょ。私だって利用されたくないし、そういう関係で仕事をしたくないもの。もちろん、イヤな担当者やお客様に出会っちゃうとか、そうとばかりは言っていられないのも分かります。でも、相手を転がすことにばかり意識を集中していたら、ほかのところに穴が開きますよ。ライターだったらライティングが下手になるだろうし、経営者だったら経営力やマネージメント力が鈍ってしまうと思います。だから、おすすめはしませんね。
―それでは、どのように接したらいいのでしょうか?
川崎:コミュニケーションを図ったり、敬意や礼儀を尽くしたりってことはやらなきゃいけないと思います。そのうえで、「スマイル0円」みたいな、相手がちょっといい気持ちになれるくらいの接し方がいいのかなって。
例えば、オジサンたちの会議の中に明子さんがぴょんっと入って、明子さんの笑顔を見ていたら「そんなにカリカリしても仕方がないか」と思えて場が和んだとか、そういう感じ。それはすごくいいと思う。
でもそうではなくて、意図的に相手を利用しようとしたり、自分が優位になるように画策したり、権力者に取り入ったりすることに意識を集中させるようだと、そういうことが好きな人はいいけれど、通常は魂がすり減ると思いますよ。
そんなことをするよりも、たとえ大物じゃなくてもいいから、自分自身が“何者”かになったほうがいいと思う。「私はデザイナーです」とか。
周りの人からも「デザイナーの●●さんね」って言ってもらえるような、自分で自分を食べさせることができる、そんな“何者”かになると、仕事以外の事、例えば恋愛や結婚などの選択肢も広がり、色々な可能性を人生で得られるのではないでしょうか?
Text/千葉こころ