女友達と会って「らしい自分」を取り戻す
「我慢しないで外に出る」と決めたといっても、もちろん、身軽で酒飲みな女友達と毎晩のように集まってサイゼリアでマグナムボトルを流し込んでいたあの頃のようにはいきません。これまではまったく特別なことではなかった「女友達と会う」ということがスペシャルなことになったのは紛れもない事実。子どもを産んで以来、女友達と会うという、日常の「ケ」が、事前に備えて迎える「ハレ」の日へと変化したのです。
だから、一工夫が必要になりました。産後、新しく見出した楽しみのひとつに「ホームパーティー」があります。
外に出るのは「ハレ」だけど、ホームパーティーであれば、「ケ」の延長線上にある。美味しい食べ物をたくさん用意して、友達が持ってきてくれる差し入れと一緒にテーブルに並べると、外で飲むよりも豪華になって、「むしろ家飲み最高!」という気分になります。
しかも、外のお店ではなかなか静かにしていてくれない未満児であっても、家の中なら比較的落ち着いてくれる。テレビやおもちゃや絵本といった、気を紛らわすものだってたくさんあります。布団に入れて寝かしてしまえば、後はお酒片手にゆっくりおしゃべりが出来る。
先々週は、友達が続々と「母親」になって寂しさを感じていたけれど、わたしも「母親」になって女の友情が復活した、という話をしました。しかし、ママ友の絆ももちろん良いけれど、同じ子持ち同士で話すとモヤモヤされてしまいそうな話でも、違う立場にいる女性だからこそ、話せることもあります。お母さんになる前からの友人たちとつながり続けることで、狭まりがちな視野が広がっていく。
何よりも女同士のおしゃべりほど、楽しいものはありません。「久しぶり」ではなく「こないだはお疲れ!」という近しい距離にいる女友達の存在は、「らしい自分」を取り戻す助けになってくれるように思えるのです。
Text/大泉りか
初出:2018.09.29
次回は<初体験の相手は十数年後、キャバ嬢との恋に悩む平凡な男になっていた>です。
ほとんど覚えていない初体験の相手から、十数年ぶりに連絡が。しかもその内容は、「行きつけのキャバクラの女の子との関係がなかなか深まらない」というもので……。過去の男の印象が書き変わっていく大泉りかさんのコラムです。