何かにハマった友達と疎遠になる
AMに毎週コラムを寄稿していますが、たまにはテーマに詰まることがあります。そんな時は夫に「何かネタない?」と尋ねるのが恒例。今日もまた尋ねたところ、しばらく考えた後で、こう言いました。
「女の人って、何かに突然ハマった友達と、付き合えなくなっちゃうことあるでしょ。例えばスピリチュアルとか、オーガニックとか。別に悪いわけじゃないけど、野球鑑賞、プロレス、あとは韓流? 子育てが一番になっちゃうっていうのもあるかな。どう?」
「どう?」と言われても「あるね」としか言いようがない。だって、趣味が出来れば時間やお金をそっちに費やすようになるのは当然のことだし、急に考え方や生き方が変わった相手と、これまで通りに付き合えるとも限らない。どちらかが無理をして付き合うくらいなら、自然に疎遠になったっていい。
それに、確信しているのです。たとえ一時期、人生が交わらなくなることがあっても、状況が変われば、いつだってまた、親しい関係に戻れるってことを。
友達が「お母さん」になっていく
20代半ばの頃のわたしの目標は「好きな仕事で食えるようになること」。その夢を叶えるために、毎日終電まで働いては、溜まったストレスを発散するために朝方まで飲んだくれる日々を送っていました。
「いつかは結婚をするだろう」と思っていたけれど、じゃあそれがいつなのかは、こんな生活を続けていてはまったく想像も出来なかった。子供だって、自分が生みたいのか、生みたくないのかすら、考えたことはありませんでした。
そんな中、周囲で第1次出産ブームが起きました。早めに結婚した同級生や飲み友達が、次々に「お母さん」になったのです。
お祝いがてら、そうした友人の家にお邪魔した記憶もあります。けれど、いつも夜の街で会っていた彼女たちと、昼の明るい光の下で会うのは気恥ずかしいものでした。それに、わたしも友人も、か弱い赤ちゃんのことが気になりうわの空で、一緒に時間を過ごしてもあまり楽しいとは思えませんでした。
彼女たちが話す育児の苦労話や配偶者の愚痴を聞いても、いまいちピンと来なかったし、逆にこちらの話をしようとしても、どんな話題を選べばいいのかさっぱりわからない。「海外に行ってきた」とか、「仕事で憧れの〇〇さんにインタビューした」とかいう話を、彼女は聞いて楽しいのだろうか、と悩みました。
目の前にいる、これまで付き合ってきた友人でありながら、まるで初めて会う人のような彼女たちに、わたしはただただ戸惑いを覚えていました。姉妹や親戚が出産を経てお母さんになる姿を、一度でも見ていればまた違ったかもしれません。けれど、そういう経験のなかった私は、これまでとはチャンネルが変わってしまったかのような女友達と、どう付き合えばいいのか、さっぱりわからなかったのです。
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