獣男子に無理やりカラダだけの関係を迫られて/『溺れる獣と甘い罠』

 大人の女性のための恋愛小説サイトエブリスタウーマンの人気著者陣による特別コラム!
著者の方に自身の作品の魅力をあますことなく伝えていただきました。

 第七弾は『溺れる獣と甘い罠』著者の松崎真帆さんです。

獣とのカラダだけの関係に溺れていく『溺れる獣と甘い罠』

エブリスタウーマン 官能小説 溺れる獣と甘い罠 松崎真帆 Mateus Lunardi Dutra

 わたしの知らない、わたしを暴く、獣のようなその瞳……。

 その深さを知ってしまったから。
その甘い色に飲み込まれてしまったから。

 もう、逃れられない。

 同期のオレサマ・長瀬 恭。
憧れのキミ・神谷 響。

 好きじゃないのに、こんなに愛しい。
好きなだけなのに、こんなに苦しい。
私が欲しいのは、何なんだろう?

 羽村澪は広告制作会社で働く27歳。
忙しい毎日の癒しは、取引先の憧れのキミ・神谷響への淡い想いだった。
しかし、完璧超人の皮を被った同期のオレサマ・長瀬恭にその秘密を知られてしまったことで、カラダの関係を持つことになってしまい……。

「相性いーよ、俺ら。ミオのカラダ、俺にぴったり」
「なっ、何言って……!」
「ミオも気付いてんだろ?」
「知らないっ!」

きっと私は、真っ赤な顔になっている。
そう自覚しながらも、私は長瀬の言葉に真っ向から歯向かうことをやめなかった。

折れたら、喰われる。

長瀬の瞳にちらつく欲が、その危険を教えている。

余裕あふれる長瀬の顔が、また少し、近付く。
覗き込むような仕草に、また私の顔が歪む。

「一回してんだから、もう何回したって一緒だろ?」
「っ、あれはっ!」
「お前が言ったんだよ、『きもちいー』って」
「違うっ! 全部、間違いよ、間違い! もう忘れる! だから長瀬も忘れて!」

叫ぶように言った私の言葉に、目の前の長瀬はニッと笑う。
その笑顔が、捕食者の顔に見えて、私は引きつった。

「やだね。こーんな相性いいカラダ、誰が手放すかよ」