前回の<鎧を脱げるパートナーに出会うための選択>もどうぞ。
【第16回】恋愛が苦手な女子こそ結婚向き
AM編集部(以下、AM):<採用のプロと白熱トーク>、すごく好評でした。『好きな男の前では鎧を脱いで生身でくつろぎたい』という言葉が染みました。
あとアルさんも旦那さんに出会うまで苦労されたんだなーと(笑)。
アルテイシア(以下、アル): 29歳で『59番目のプロポーズ※』を書く前って、息も絶え絶えだったんですよ。
仕事も恋愛もどん底で、ひたすらガンダムのDVDを見まくって宇宙世紀に逃避していた。それで「アルテイシア」って名前でブログを始めたんです。
(※2004年にmixiで始めたブログが書籍化される。ドラマ化・漫画化もされて話題に)
アルテイシアって『ガンダム』のセイラさんの本名なんですね。「セイラ・マス」は生き延びるために名乗った偽名なんです。 …詳しくは『ガンダム THE ORIGIN シャア・セイラ編』をご一読ください。
AM: はい、読んでみます!
アル:セイラさんは強くて毅然とした女性だけど、心の中には弱くて傷つきやすい少女の「アルテイシア」がいる。全ての女性がそうだと思うんです。
弱くて傷つきやすい部分があって、守ってくれる存在を求めている。でも社会でふんばって働くうちに、どんどん鎧の装甲が厚くなっていく。
AM:鎧は厚くなりますね…。「自分で自分を守らねば!」と生きているうちに。
アル:私の場合「強い女=面倒くさくない女」と勘違いした男が寄ってきて、弱い部分を少しでも見せると「そんな女だと思わなかった、サヨナラー」と去っていく…ってパターンが何度かあった。
AM:そういう時こそ支えてほしいのに。「弱い女アピールした方が得なの?」と思っちゃいますよね。
アル::私も当時は思った。でも、弱い女アピールに引っかかる男ってつまんない奴なんですよ。「自分が強者になりたい」、「ヒーロー願望を満たしたい」って男だから、自己満足したら去っていくし。
それに、私も目が曇っていました。どん底状態で結婚に逃げたかったから「この人は大丈夫」と思いこんで。こっちも相手を理想化していたし、どっちもどっちなんですけど。
そんな風にズタボロになっていた時に夫に出会ったんです。
AM:<鎧を脱げる相手に出会って、本当の意味で自己肯定できるようになる>というお話に共感する女性が多かったから『59番~』は支持されたんでしょうね。
アル:当時、ブログがアエラや女性誌で取り上げられたんだけど、取材に来た編集さんが「分かりすぎて、うっ…」と感極まる、みたいな(笑)。
英国TIMESやBBCに取材された時も「英国女性も同じです!」と言われて、「人類皆姉妹…!」とユニバーサルな気持ちになった。
AM:女性の本質的な悩みは世界共通かもしれません。
前回<メディアに登場するのは、バリキャリで見た目も綺麗にしてオシャレな部屋に住む女性ばかり>と仰ってましたが、表面的なイメージで括られがちですよね。
アル:あと、そういう風に見せたいのも鎧ですよね。「ミジメな独身女と思われたくない」っていう。
私もそんな戦いに疲れ果てていたから、夫と出会って「トキメキは皆無だけど、この人の前ではハイヒールを脱いで裸足になれる」と思ったんです。
恋愛の脳内麻薬は出てなかった。「惚れたハレたはもういい、家族がほしい」と思っていたから。
AM:ただ旦那さんが「初デートのお店も決めてなかった」「服装が衝撃的にダサかった」というエピソードを読むと「自分だったらナシと思っちゃうかも」と(笑)。
アルさんも生身の旦那さんを見ていたんだなって。
アル:まあ「コイツおもしれーな」って好奇心が大きかったけど。
あと、どん底まで落ちて見栄が完全になくなったというか。「他人がどう思おうがホントどうでもいいわ」って。デートに全身迷彩服で現われても構うものか!と。