あびるような愛のために海外へ!

雨宮:中村さんが勧める道としては、日本で行き詰っているなら、こっち来いよってことですよね。

中村:そうですね。でも、こんなに浴びるように愛を感じるのって海外でしかないですよね。

雨宮:日本では、たとえ結婚していても「浴びるような愛を感じる」って、難しいことのような気がします。
もしかしたら、みんな恥ずかしいから言わないだけで、家に帰ったら夫婦で「愛してるよ」とか「仔猫ちゃん」とか言っているかもしれないですけど、あんまり聞かないんですよね。愛情表現の方法が違う感じがします。

中村:うちは、帰ったら手洗ったりうがいしたいのに、まっすぐに洗面所に行くと「俺のことはどうでもいいのか?」と言うぐらいの感じなんですよ。

雨宮:けっこう重量が求められますよね。
それに答えられるぐらい、こっちも愛情の体力がないといけない。

中村:重い女で丁度よいくらいですね。
日本人女性ってまだ価値がすごく高いので、海外にいったらクリアできることも多いです。
怖くて難しいのかなとは思いますけど、愛の力でなんとかなるんだと思います。

雨宮:中村さんの人生相談企画、やってほしいですね。
愛が欲しいと悩む女性に向かって、北方謙三の「ソープに行け!」みたいな感じで、「パリに来い!」っていう。
ダイレクトに「来い!」って言われると、一歩踏み出せる人も多いかもしれない。

中村:恋愛できなくなって、恋愛の仕方自体を忘れているという人も山ほどいるみたいなので、パリにくればマダムって言われるので、盛り返せるんじゃないかなと思いますけどね。

雨宮:海外でモテると、盛り返せますよね。

中村:マダム=女性に見られているってことなので、それを毎日毎日浴びると捻くれたところがとれて、自分が女性に戻っていくというか。

雨宮:それ、すごい分かる気がします。
ひとつの価値観の中で考えていると、その中で受け入れられる女性像がすごく狭いものに思えて、その中に自分は永遠に入れないような気がしちゃうんですよね。 そんなことないのに、自分で自分を「女」の世界からはじき出しちゃう。

中村:私は、福岡っていっても博多弁も分からない北九州の田舎の出身で、大学で東京に行くなんて怖くて出来なかったんですよ。みんなよく東京行くなと思いながら、長崎の大学に4年間行って、でも外を知らないってなんか意気地ないなとは思っていたんですが。

そんな私がジョン・レノンとヨーコに憧れて
日本であんなにイチャイチャするカップルを見たことなかったので、あれがラブかって思いましたね。
最初アルバイトでお金を貯めて、ジョンとヨーコが住んでいた憧れのニューヨークに行った時は、英語も喋れないし怖くてトイレで震えたのを覚えていますよ。

雨宮:もともと海外に行くのが全然平気だったから世界婚活をしたわけではないっていうことを強調しておきたいですね。結婚したい一心で、勇気を振り絞ったということですもんね。

中村:今では、飛行機乗ったら日本にいつでも戻ってこられるわって思えていて。
それぐらい日本から見る海外ってものすごく遠くて。でも、パリから見る日本って近いんですよね。
本当に幸せの価値観は沢山ありますからね。

雨宮:私は中村さんの本を読んで、そこが本当に救われたところですね。
世界には多様な価値観があるじゃないですか。
東京にいる以上、東京の常識で何となく生きているし、そんな中で認められたいという気持ちが沸いてきちゃうんですけど、自分の幸せを考えたときに、そのために切り捨てなきゃいけない物もあるなと思っていて。
誰かに認められたからと言って私が幸せになるわけじゃないし、私が幸せになるかどうかを軸に考えたら自由になれるんじゃないかって。

東京にいて、多様な価値観を感じることはすごく難しいですよね。
だから、住むまではいかなくても、たまに違うところに行って、東京の常識が全てじゃないというのを感じたほうがいいなと思ってます。海外に行ったときのあの開放感は何なんだろうって思うんですよ。

中村:鎧を脱ぐ感じがしますよね。

雨宮:私も基本的には、知らない国に行くのって怖いしイヤなんですよ。
出かける前なんか、「100%キャンセル料払ってもいいから、このまま家にいたい」って思うときもあるのに、空港に降り立った瞬間、「ここでは人目を気にせず、自分のしたいことをしてもいいんだ」っていう開放感があるんです。
あれは日本の常識から解き放たれる感覚なんだろうなって。

中村:全てのしがらみから解き放たれた感じですよね。
海外に行って、半年英語を勉強すれば誰でも話せるようになるんですけど、そうすると色んな人と話せるから楽しくなってくるんですよね。私は、「君っていいね」って言ってくれるのが海外の人ばかりなんですよね。
だから、日本では自信がなくて、うまくやれないんだったら、やっぱり一度市場価値があるところに行くことを私はおすすめしたいです。

Text/AM編集部

雨宮まみ×中村綾花 対談をまとめて見る

Twitter、FacebookでAMのこぼれ話をチェック!