主演の池松壮亮くんと門脇麦さんは
その場に行って、自分の感情を体感して感じられる人
———主演の池松さん、門脇麦さんは「若手の新進俳優」としての立場があって、今伸びているところでこういった強烈なイメージをつけられやすい作品に挑戦された。
三浦さんから見てお二人はどうでしたか?
三浦監督: 本人たちじゃないし、どう捉えているか本心は聞けてないんですけど。
役者は「自分を見られたい」っていう欲求が強い人たちで、そこから得られる快感は知っているはずだから、その作品がおもしろいと思えばやると思うんですよね。
門脇さんの場合は、出演には抵抗があったけど、テーマに興味があったし、作品をおもしろいと思ったから参加することにしたそうです。
作中、門脇さんが演じる女子大生は、パーティーに参加することにためらいながらもその扉を開ける。そこが同期しているので、ドキュメンタリー的なんです。
———舞台演出と違って、映画になるとアップのシーンもあるし、役者さんに委ねないといけない部分が大きかったのではないでしょうか?
三浦監督: 池松くんと門脇さんについては、あまり何も考えずに役を作らないでそのままその場にいて感じたようにやってください、という指示を出したので、彼と彼女のドキュメンタリー的に見えればいいと、記録のように僕は撮っていました。
「こういう風に感情を出せばいいんでしょ」と、変にあざとい人や、動揺している時は動揺している顔の演技をしないと表現できない人もいるけど、二人は違ったので。
二人とも、その場で自分の感情を体感できる人だし、感受性が豊か。
「こういう演技をしよう」っていうプランがなくても、自然と表情は撮れたんです。
———今はネットやSNSが一般化して、他人からの視線を気にしすぎて、「動物化する」ことを恐れる傾向にあると思います。
まさにAMの読者もそういう方が多いのですが、なにか思うところやメッセージがあればお願いします。
三浦監督: それはそれでいいと思うんですよねえ(笑)。
みんなが自分の動物性を認めてしまったらダメっていうか、おもしろくなくなると思うんで。
ただ、この映画で描かれている場所は、動物性に素直に生きなきゃだめなところじゃないですか?
自分の解放の仕方がわかって、これが本当の自分だったと自覚する快感は意外に悪いことじゃないよ、と。
映画にからめて言うと、女子大生の彼女は自分を解放して、このパーティーにいることを「楽しいです」と言っている。「楽しくなさそうに見えるけど、実は楽しい」と。
その「楽しい」って感情は、人の視線とか社会的な立場とか、色んなものがあって覆い隠されているとは思うんですけどね。
……だから、乱交パーティーを皆さんもやってみたらどうですかね?(笑)
怖いかもしれないですけど、解放した自分を知ることで人生を有意義に過ごせたりするのかも。
またそれで、認められなかったら認められなかったで、戻ってくればいいと思うんですよ。
一度味わってみて、自分はどう感じているのか? 本当は自分の奥底に動物性が眠っていないか? と、問いかけてみてほしいです。
でも、乱交パーティーをやろうなんて言ったら、引かれちゃうと思うけど(笑)。
3月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
原作・脚本・監督:三浦大輔
出演:池松壮亮、門脇 麦、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子 、窪塚洋介、 田中哲司
制作プロダクション:ステアウェイ
製作:映画「愛の渦」製作委員会(東映ビデオ、クロックワークス)
配給:クロックワークス
2014年 / 日本映画 / 123分
URL:映画『愛の渦』公式サイト
Text/鈴木みのり
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