「皆さんってスケベなんですよね!?」性欲が渦巻く乱交パーティーを描く『愛の渦』

 本編123分中で着衣シーンはわずか18分半、舞台は営利の乱交パーティーの現場。
そう聞くと期待が高まる。
セックスシーンはいったいどんな風になっているんだろう……?
好きな俳優さんが出てるし! そんな好奇心で今作に興味を抱く読者もたくさんいると思う。

鈴木みのり 愛の渦 (C)2014映画「愛の渦」製作委員会

 主演は若手俳優の成長株として現在注目されている池松壮亮
2013年の傑作映画『横道世之介』では、テンションの高いコミカルなキャラクターである一方でシリアスな側面も見せる役を演じ、助演ながら強い存在感を発揮していた。
わたし自身、本作を見るにあたって彼の見た目に惹かれて興味を持った部分もある。
誰しもそんなゲスい欲望があるんじゃないだろうか。

 しかし、冒頭で早速その小さな期待を裏切られることになる。
この作品はセックスシーンをエロティックに楽しむものではない。
欲望にまつわる人間同士のコミュニケーションと、そこから生まれるさまざまな感情を突きつけてくるのだ。

あらすじ

 六本木。にぎやかな夜の街を抜けると、閑静な住宅街がある。
そのマンションの一室にさまざまな人々が集う。
ニート、女子大生、サラリーマン、保育士、フリーター、OL、工場勤務の太った童貞に、ガリガリに痩せた常連の女。
ここでは毎夜、乱交パーティーが催されている。
0時から5時まで、男性2万円、女性1千円、カップルは5千円。
参加者は「ヤりたい」と期待に高ぶっているけれど、はじめはぎこちないやりとりが交わされる。
しかし、ひとたび行為がはじまると欲望に身を任せ、セックスに興じはじめる。
次第に、特別な感情が芽生える者もあり、プレイに自信を持ちはじめる者あり、清純の殻を脱ぐ者ありと、肉体が交わされると同時に、彼らの本音と欲望が渦巻きはじめる。