その2

あくまで本を読んでるだけです! と官能小説を広げてみて

鈴木みのり エロしぐさ smplstc

 もうひとつおすすめは、図書館という静かで穏やかがディフォルトとされている場所の傘の下、逆にふだんおおっぴらに手に取れないような官能小説を持ち込み、まじめに熟読すること。

 さすがに堂々と本を開くのは恥ずかしいと思いますが、カバーをつけたそれから文章がチラリとのぞき見えたとき、官能小説とわかった殿方が、図書館で読むからにはそれなりの文化的価値があるのではと考えをふくらませてくれ、いやしかし、公衆の面前で……とアンビバレントな感覚からの興奮をもよおしてくれるやもしれません。

『真珠夫人』『牡丹と薔薇』『赤い糸の女』でも有名な中島丈博氏脚本による、ドロドロ愛憎劇な昼ドラ『天国の恋』の放送が、先月末からはじまりました。

 主人公・斎(床嶋佳子)の嫁ぎ先である古本屋で『女教師の香り』という官能小説を手に取る青年(ジャニーズJr.の高田翔)。「第三章 乾いた陰部」という題から続いて、文中から拾われた「愛撫」「直接握って」と文中から拾って画面に大きく映し出されます。彼が別の作品を手に取ると「淫靡な声」「快感」「陶酔」といったフレーズをカメラが三連発で抜く。
そうして見つくろった数冊を万引きしようとしたところ、斎にとがめられ、もみ合ったあげくに屹立した股間をわしづかみにされるという話題のシーンに!

 古くは萬話から、人々の隠された欲望が焼き付けられたのがテレビドラマや映画などのカルチャー。
公共の電波で堂々と官能小説がフューチャーされている時代ですから、文化を通じた恋愛や官能へのシンパシーや共有を、わたしたちは求めているのかもしれません。
AMでも、大泉りかさんの連載で官能小説への世界に導いてもらえますので、手がかりにぜひ。