前回の「サイリウムで性的アピール?ライブで使えるエロしぐさ」も合わせてどうぞ。
AM読者のみなさん、お久しぶりです。
わたしの都合で編集部の方々にムリを言って、1ヶ月ほどお休みをいただいておりました。 そのあいだに必要に迫られ、朝吹真理子さん、金原ひとみさん、川上未映子さん、藤野可織さん、松田青子さん、本谷有希子さん、綿矢りささんといった、自分と同世代の現代女性作家を読んでいました。
気づいたら季節は秋、読書の秋! ……という言葉をわたしも幼いころから耳にすりこまれてきましたが、実際には秋だからと意識して読書をしたことはありません。 が、しかし、これは本連載に使える! と思い、今回は本のある場所:図書館で使えるエロしぐさを考えてみようと、こういうわけです。
図書館でのエロしぐさ
その1
文学の傘の下 エロティックなシンパシーを集めて
変態な気質でもって描写をしている古典の文豪も多く、彼らの作品を読むことで、そのフェティシズムを共有できる男性との出会いを発生させることもできるかもしれません。 この作家が好きってことは自分と合うかも……というシンパシーを誘い出そうというわけです
たとえば、谷崎潤一郎の『鍵』は嫉妬に興奮する夫が妻の間男との情事をのぞき見る物語ですし、川端康成は腕や指に執着する書き込みが散見します。 先ほど書いた現代の女性作家のうち、藤野可織さんの『パトロネ』という作品では、主人公の “私” が同居する妹の情事を目撃するシーンがこのように描かれています。
妹のひしゃげた尻がうねうねと動く。妹の上半身が男の胸に倒れる。それでも尻は動くのをやめず、もはやうねうねとうごめき続ける尻だけが、発光せんばかりに私の目に迫ってくる。巨大な芋虫がこちらに顔を向けて、無心に咀嚼しているようにも見える。その芋虫の顔面に影が差す。右半分を、男の手がわしづかみにしたのだ。
芋虫の咀嚼! なんてリアル! 騎上位でアノ部分が上下運動している、ある種グロテスクな状態を適切で簡潔な比喩でとらえた衝撃的な表現に、思わず口をあんぐり開けながら何度か読みふけってしまいました。
しかも、これがあの上品なしゃべり方でかわいい藤野さんの書いたものかと思うと、なんだか興奮してしまいます。
本作は昨年の野間文芸新人賞の候補にも挙がり、藤野さんは今年の芥川賞を『爪と目』で受賞。
作品や作家のエロティックな質をつかめば、文学の話題にかこつけて、情欲のアピールに利用できそうです。
ところでわたしは小学生のころ、横溝正史や江戸川乱歩を熱心に読んでいたせいか、根深く妄想癖がついてしまったので、みなさんは行きすぎた読みには注意してください。