
これまで男の勝手な願望から「この人とはエロできる!」という確信に至ったことが何度もある。だが、相手がまったくそう思っていないことも案外多い。男は自分勝手で都合が良過ぎるのである。
中学時代の同級生・ミハルがそうだった。彼女とは当時喋ったことはないのだが、中学同級生が集まる何らかの飲み会で卒業から10年ほど後に再会した。「こんな美人いたっけ???」と思ったら6年生の時隣のクラスだったミハルだという。
それはそれは驚きだった。ぬいぐるみのモンチッチみたいだった少女が、まさかの美女になっていたのである。誰に似ているかを出すのも差しさわりがあるので具体名は出さないが、「清純派アイドル」的になっていたのだ。
この日、最初は敬語で喋っていた「ミハルさんは今どんなお仕事をされているのですか?」「ニノミヤさんは何をなさっているのですか?」みたいなよそよそしい感じだ。彼女は看護関連の仕事をしており、僕はメディア関連の仕事をしていると言った。
「へぇ~、ニノミヤ君ってそんなことに関心があったんだね。私たちの学校はそういった道に進む人は珍しいから色々話聞きたいな」
というわけで、その場でじっくりと喋ることにしたかったものの、さすがに大勢の同級生がいるから彼らとの交流も楽しみたいし、美人になっていたミハルと喋りたいヤツが大勢いるだろう、と僕はその席を譲った。ただし、電話番号とメールアドレスの交換はした。
ミハルと代々木公園で会うことに…
それから1ヶ月後、ミハルからメールが来た。彼女は代々木公園が好きなようで、週末の昼間、一緒にビールを飲まない? と言ってきた。僕はその辺に住んでいたため当然快諾。保冷バッグに缶ビールを6本詰めて僕らは代々木公園の正門前で待ち合せた。つまみは園内の売店で買えばいい。
中学当時、一度も喋ったことはなかった彼女だが、思いのほか会話は噛み合った。当時「相手から誘われる間男街道一直線」だった僕は、ミハルの間男になりたいな、とも思った。しかし、意外なことに彼女は恋人がいないのだという。
「ニノミヤ君さ、やっぱ中学の同級生っていいよね~」と彼女は言った。「あの時、今こうなってるなんて誰も想像できてないでしょ? あと、私だってニノミヤ君とまさか卒業から10年後にこうして代々木公園でビールを飲んでるなんて想像できなかった」。
こんな他愛のない話をし続けたのだが、ミハルは「あ~あ、普段聞けない話を色々教えてくれてありがとうね!」と言い、僕らは翌週は新宿御苑へ一緒に行く約束をした。
以後、ミハルとは毎週末ないしは月に3回、週末にどこかの公園でビールを飲むことが定番となった。再会した時は夏だったが、いつしか季節は冬になっており、さすがに12月は公園ではなく、飲み屋で昼を一緒に過ごした。
こうなると思うのが一体ミハルは何を求めているのか? ということである。彼氏はいない。そして彼女はいない(だが間男活動はしている)同級生と毎週のように会い、エロをするわけでもない。
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