ミハルは何を求めているのか?
まったく彼女の真意が分からないまま年が明けたある日曜日の午後、僕は当時間男としての相手だった人妻と自宅でエロをしていた。2回目を終えた後、アパートのブザーが鳴った。「おいおい、いいところなんだよ、やめてくれよ!」と思いつつも、たまたまその時仕事の大事なバイク便が来るタイミングだったため、短パンにTシャツを着て慌ててドアを開けた。
そこにはミハルがいた。僕は彼女に自宅住所の書かれた名刺を渡していたのだ……。「突然ごめんね」「………………」「どうしたの?」「いや、ちょっと今取り込み中で」となった後、女性モノの靴を見たミハルは激高した。
「ニノミヤ君! あなた、どれだけ私があなたのこと思っていたか分かっててそんなことしてるの! だいたいね、毎週貴重な週末に会うってことはあなたに若干の好意を持っているってこと。なんでソレが分からないの! この鈍感男!」
僕は「いや……、ミハルをなんとなく家に来るよう誘った時あったじゃん、あそこで拒否されたからオレのこと嫌いなのかと思ったんだ……」と言った。するとミハルは「あのね、女は男と違ってエロいことばかり考えていないの! きちんと手順を踏んでからその行為に至るの! もう会わない!」とキレた。
エロいことをしたかった相手のミハルではあるが、まさか別の女性とのエロ中にその現場を目撃されるという実に恥ずかしい若き日のできごとである。
Text/中川淳一郎
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