彼女とセフレ、どっちが偉い?恋人の遊び相手と三者面談をした

自分の常識は世間の常識だと思い込みがちだけど、あくまでも思い込みであって、人によってはまったく違う常識を持っている。そんな、考えてみれば当たり前のことをうっかり忘れてしまうのは「常識」というものが「正しさ」に規しているからで、だから「正しさ」をどこに置くかによって「常識」は変わってくる……ということに気が付いたのは、とある女性の発言からでした。

恋人のセフレを呼び出したら…

その日、わたしは恋人と、そのセフレである女性と三者面談を行っていた。浮気がバレてしまった恋人は気まずそうで、けれども「彼女とはただの遊び。だから関係を清算する」といい、けれどもセフレの女性を見知っていた女友達から「彼女は気が強く意固地なタイプだから、たぶん別れさせるのは大変だ」と忠告を受けていたわたしは「カタをつけようぜ」と恋人にセフレを呼び出させたのです。

「本命の彼女」であるという自負があったからわたしは負ける気はしなかった。だからいま思えば、むしろわたしは卑怯だったと思う。絶対に勝てる相手に対して、勝負を仕掛けたのだから。が、「本命の彼女」である以上、恋人が「ただのセフレ」という相手に負けるわけはないし、「ただのセフレ」の彼女だって「本命の彼女」が出てくれば「負け」を認めて引き下がるしかない……というのがわたしの「常識」だった。平和な生活を脅かす敵を排除することはわたしにとって「正しいこと」であり当然の権利だと思っていた。

が、「別れてもらえます?」とストレートパンチを放ったわたしに彼女はこう言い放った。「嫌です」と。「嫌もなにも、彼のほうがもう別れたいっていってますけども」と追い打ちをかけても「ずっと一緒にいるって約束したんで」と絶対に譲ろうとしない。いい加減に嫌気がさして恋人に「どうすんの、この人」と促したところ「君はただのセフレだし、もうバレた以上、無理だよ」と一応はわたしの味方についてくれたものの、彼女は絶対に首を縦にふらず、そうして言ったのです。「彼女とセフレ、どっちが偉いと思ってるんですか?」と。

え、「彼女」のほうでは? と思ったけれど、それはわたしの「常識」であり、世間としてどっちが偉いかと問われると……ってか人の関係性に偉いとか偉くないとか、そもそもあるのか。

妻は関係性にあぐらをかいている?

そういえばかつて、既婚男性と不倫関係にあった女友達に「奥さんって、夫婦っていう関係性にあぐらをかいてるよね」と同意を求められたことがあった。すっげぇことをいうな、と思いながらも、結婚という関係性を結ぶ利点のひとつは、妻の座という安定を得ること、社会からつがいとして認められることではないかとも思い、しかし確かに離婚という選択肢がある以上、あぐらをかくのはあまりよろしくもないよね、わたしもあぐらをかいてる? というようなことも考えた。

しかし喧嘩なんて考えたほうが負けで、勝つにはひたすら殴るしかない。そういう意味で「どっちが偉いと思ってるんですか」という問いは、思考停止に追い込むという意味では良手だった敵ながら天晴としかいいようがないのですが、さて皆さまはどう思いますか。彼女とセフレ、どっちが偉い? まぁ、偉い偉くない関係なく、一番クズなのは恋人ですけどね。

Text/大泉りか