翌朝、彼女が起きるのを待つと…
この日はこの1回で二人とも疲れ果ててしまい、大量の酒の影響もあってかすぐに寝てしまった。朝、うっすらと明るくなってきた6時頃、鳥も鳴き始めておりベッドの左側には高野さんがいる。
僕は仕事が9時からあるため、6時というのは中途半端な時間だった。7時だったらそのまま職場に行ってしまえるのだが、6時だとまだ早い。起きたら美女が隣にいる状況である。もう一度エロいことをしたくなった。さすがに起こすのも申し訳ないので、そのまま目だけつぶって彼女が起きるのを待つことにした。
すると隣からブーッという音がした。彼女の屁だった。これに気付いたのかどうかは分からないが、彼女はこれで目が醒め、こちらを見て驚いていた。
「な、なんでニノミヤさんが私の家にいるんですか????」
「えっ? 覚えてないんですか?」
「は、はい。渋谷で飲んでいたことは覚えているんですが、その後の記憶がなくて……」
「『お前、私の家に来い!』って高野さんに言われてタクシーに乗ってここまで来たんですよ!」
「しかも家でもこんなにビールを飲んでいるのですか……。はぁ、ごめんなさい。前にもこんなことあったんですよ……」
なんともとんでもない「虎」(酔っ払いのこと)だが、さすがにこの状態で誘うわけにはいかない。「また飲みましょう!」と明るく言い、僕は空き缶をゴミ袋に入れ、服を着て外に出たのだった。結局高野さんとその後会うことはなかったのだが、彼女は今日も大量に酒を飲んでは「ヤマダ! お前、私の家に来い!」とやっているのかな、と考えるのであった。
Text/中川淳一郎
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