推しに好意を表現すること

その先生がプロの演者である事実に怯んでいるというか、“特別な存在”として認識しているように感じたのですが、いかがでしょうか。
その気持ちはわからなくもないですし、憧れの存在、なおかつ人前に立ってパフォーマンスをしている“有名人”ともなれば、一般人である自分とは違う世界にいる人、雲の上の存在の人だと感じてしまうのは仕方のないことなのかもしれませんね。
でも、芸能人や有名人だってわたしたちと同じ人間なんですよ。

話は少し逸れますが、わたしは推しに手紙をしたためるタイプのオタクなんです。
推しとお近づきになりたいとか自分の存在を認知してほしいという願望があるわけではなく、ただのいちファンとして大好きな気持ちが爆発するとファンレターを出しているのです。

なぜファンレターを送っているのかというと、わたし自身もファンレターをいただいたときにほんとうにうれしかったから。
手紙を書くという行為は、ひとつのハードルだとわたしは考えています。
SNSをフォローしていいねやRTボタンを押す、ライブを観に行く、グッズを購入する、というのも応援の手段だと思いますが、自分の気持ちを伝える、そしてそのために文字を書くという行為はとてもエネルギーと勇気を要すること。
そんなハードルを飛び越えてきてくれる人(とはいえ、マナーを守っていて相手の恐怖心を与えないことは大前提)の存在って、とてもありがたいのです。
それと一緒で、自分に対して真っ直ぐな愛を伝えてくれる存在というのは、有名人だとか一般人だとか関係なくとてもうれしいのではないでしょうか。

プロの演者だから、自分とは違う世界の人間だから、という理由で区別をしてしまうのはとてもかなしいことだと思います。
相手の立場を気遣うのはとてもいいことですが、だからといって自分を卑下したり相手を崇めすぎて行動を制限する必要はないのではないでしょうか。

気持ちを伝える上での覚悟を

ただ、恋愛の告白となると同じようにはいかないでしょう。
先生はプロで有名人だから迷惑では……というのではなく、講師と生徒の関係だから迷惑になるのでは……ということならたしかにその通りだと思います。
同じ自分の気持ちを伝えるのでも、「尊敬してます」「ファンです」と、「恋愛対象として好きです」「あなたとお付き合いしたいです」というのは違いますもんね。

いくらあなたが「付き合いたいとまでは思っていない、好きだという気持ちを伝えたいだけ」と思っていたとしても、現状から関係をひとつ進めたいという意志あっての言動ですから、告白する前とまったく同じ関係ではいられません。
もしかしたら、今まで通りレッスンを受けられなくなるかもしれませんし、レッスンが継続できたとしても気まずかったりよそよそしい態度を取られたりするかもしれませんね。
「気持ちを伝えて満足しました。はい、この話はおしまいです」というわけにはいかないということはきちんと理解しておかなくてはいけませんし、告白をするのならその覚悟は必要です。

それでも、どうしてもどうしてもどーうしても先生に気持ちを伝えたいのであれば、告白していいのではないでしょうか。
もしわたしがあなたの立場だったら、なりふり構ってられない! 今後レッスンを受けられなくなってもいい! だって前に進むためには他に選択肢がないんだもん! 絶対に告白したい! と思ったのなら告白しますが、「ただただ自分の気持ちをすっきりさせたいという自己満足です」「迷惑をかけているのは重々承知していますが、前に進むためにどうしても話を聞いていただきたいんです」と前置きをします。

さらに、もし告白をお断りされても今後もレッスンを続けたいと思うのであれば、「話を聞いてくださってありがとうございます。困らせてしまってごめんなさい。もう二度とこの話はしませんし、きちんと自分の気持ちを処理するので今までと変わらない態度でレッスンを続けさせていただきたいです」とお願いをします。
その願いが叶うかどうかは別として、できるだけ後悔の少ないように自分の意志や要望は伝えておくべきだと思います、

そもそも、告白なんてものは自己満足の究極系なんですよ。
告白されることを望んでいる/いないという相手の意志を無視して、なんなら相手にしてみれば今の関係性に変化を求めていないのかもしれないのに、自分が苦しいからという自分本位な理由で無理矢理に関係性を変えようとして、さらには他人に「わたしの気持ちを受け入れてください」とお願いをしているのですから、自己満足以外のなんでもありません。

相手も同じように自分を好きならそれほどうれしいことはないのでしょうが、それが叶うとは限りませんし、なんなら叶わないことのほうがずっと多い。
それでも言わずにはいられない、どうしても自分の気持ちを伝えたい、というエネルギーが満ちて告白をすることは、時には自分のためにも必要です。そういったハードルを飛び越える勇気なくしては、豊かな人間関係の構築も自分の成長にも繋がりませんから。

あなたは「相手にとって迷惑じゃないか」と悩んでいるようですが、迷惑かどうかは相手が決めることです。
先生と生徒という関係性から、相手は迷惑だと捉える可能性があることはもちろん忘れてはいけません。
でも、そのハードルを飛び越えたいというエネルギーがあなたにあるのなら、それは誰かに咎められるものではないのです。あなただけが決断していいことです。

もしかしたら「直接会ってお話しをしたい」という告白の前段階の要望ですら断られることもあるかもしれません。
相手が迷惑だと感じたのなら、理由がどういったものであれそれは迷惑行為になります。
あなたも彼にとって迷惑な存在にはなりたくないでしょうから(断っておきますが、たとえ迷惑でも告白したいという気持ちと、過剰な迷惑をかけたいという気持ちは全く別の種類)、会うこと自体を断られたときに潔く引き下がって告白を諦めるという選択肢も頭に入れておくことをおすすめします。