「男の子なんだから」という過去の風潮

ジェンダーレスが提唱されるようになって久しいとは言え、ほんのひと昔前までは「日本男児たる者……!」のような考え方がはびこっていました。いま現在は成人している男性たちも、少年時代は「男の子なんだから泣いちゃダメ!」という風潮だったはず。

そうそう、昭和期にはこんな言葉もありましたっけ。「男が泣いていいのは産まれた時と、親が死んだ時だけだ」。なかなか無茶なことを言いますよね。パチンコで大負けした時とか、新車を擦った時とか、髪の毛の後退に気付いた時とか、泣きたいシーンはいくらでもあるだろうに……。

だからこそ世の男性たちは、「男だって弱音を吐きたい時がある!」と、弱音を吐くことを渇望しているのです。しかし、弱音を吐く対象者は誰でもいいわけではありません。前述の、「男の子なんだから」「男が泣いていいのは……」の刷り込みのせいで、弱音を吐くことはカッコ悪いこと・ダサいことというイメージがこびりついているのでしょう。

ゆえに彼らは、本気でない遊び程度の女性に対しては、弱音を吐くことはしないでしょう。一時的な遊び相手なのだから、カッコいい自分・ダサくない自分だけを見せておきたいのです。カッコいい自分・ダサくない自分であるほうが、遊ぶうえでは女性を引っかけやすいですし。

本命になった女性たちは口を揃えて

逆に、本命女性に対しては、誰かれ構わず見せられない弱い部分もある俺を、受け止めてほしいと思うのでしょう。ミカコちゃんの周辺でも、見事「本命」の座をゲットした女性たちは口を揃えて、「激務が辛いとカレが涙を見せた」などのエピソードを語ります。

涙まで流さずとも、仕事等の弱音を言ってくれるのは、貴女サマを本命と認識している証し! なお、言うまでもありませんが、弱音に対しての神対応は「聞き役に徹する」です。「諦めるな!」「やれば出来る!」などの叱咤激励をした瞬間、本命女性の座から転落することになるので、赤べこのようにひたすら頷き続けましょう。

Text/菊池美佳子