スクリーンの中には“今”を生きる女性たちがいた。ロマンポルノ50周年!映画『手』公開/「ROMAN PORNO NOW」

1971〜1988年にかけてつくられた日活ロマンポルノは、それぞれの時代と向き合い、多彩な愛のかたちを映し出してきた。スクリーンのなかには、“今”を生きる女性たちがいた。

そして現在――ロマンポルノ50周年記念プロジェクトの一環として生まれた「ROMAN PORNO NOW」は半世紀にわたり、多彩なジャンルで女性の強さや美しさを描き、愛され続けてきたスピリットを継承。

様々な価値観が交錯する現代を応援するべく、世代も経歴も異なる3人の監督たちが独自の視点で、時代の「今」を切り取った新作映画を製作する。

「そばにいる人を、めちゃくちゃに愛したいと、ときどき思う。」

©2022日活

「ROMAN PORNO NOW」第1弾となる松居大悟監督の『手』は、山崎ナオコーラの同名小説が原作。おじさん好きの20代ヒロインを中心に、おじさん、家族、父と娘……移ろいゆく時の中で、さらさらと変化しつづける関係性をリアルな日常描写とともに等身大の存在として描いたラブストーリー。

企画の始まりは、結城プロデューサーが、自分のようにロマンポルノを知らない世代にも観てもらえる作品にしたい――という意図から「同世代の心の揺らぎ、恋愛、年上男性や家族との絶妙な距離感」が描かれていることに共感した山崎ナオコーラの小説『手』に出会ったところから映画化が始動。いとしくも沁みる人間たちの姿を「ゴジゲン」の舞台や第34回東京国際映画祭で観客賞/スペシャル・メンションをW受賞した映画『ちょっと思い出しただけ』(22)で描く、今最も注目される松居大悟監督に「新しいロマンポルノをつくりたい」と本企画を提案した。

脚本には、『私たちのハァハァ』(15)で松居と初タッグを組み、女性の心情を繊細かつ生き生きと描く作家・舘そらみが参加。原作が持つ登場人物たちの魅力を大切にしながら、映画ならではの広がりを持たせる作業が行われていった。また、本企画に欠かせないベッドシーンを、人と人とのコミュニケーションの手段として丁寧に描くことで、衝動性や憂いを同居させながらも、生活の延長線上にあるものとして物語の世界観へと落とし込んでいった。

©2022日活

<松居大悟監督よりコメント>
若い世代に向けた全く新しいロマンポルノをつくりたい、というオファーを受けてこの映画は始まりました。主人公のさわ子の心情を大切にしながら作っていった作品ですので、さわ子の気持ちに揺られながら見ていただけたら幸いです。ロマンポルノということもあり、一人では行きづらいのではないか、と思っている人もいらっしゃると思いますが、実際に初日には世代は様々で女性も半数いらっしゃっておりましたので、ぜひ、安心して劇場でご覧いただけますと嬉しいです。

趣味、おじさん観察。年上好きの主人公が出会った同世代の彼――。

【ストーリー】
配信会社勤務のさわ子(福永朱梨)は、仕事にやる気もこだわりもない。恋愛は先送りにして、趣味はもっぱらおじさん観察で、写真を撮ってはコレクションしているほどの年上好きだが、父(金田明夫)とは折り合いが悪く、会話もほとんどない。天真爛漫な妹・リカ(大渕夏子)とは仲良く話す父を眺めていると、両親と妹の3人家族のように見えて、居場所を見いだせずにいた。どこか満たされない気持ちを上司の大河内(津田寛治)との関係で埋める日々。

そんなさわ子に、興味深そうに話しかけてくる歳の近い先輩社員・森(金子大地)。徐々に打ち解けていき、森の転職をきっかけに2人の距離は縮まっていく。さわ子がずっと抱えてきたモヤモヤを解きほぐしていく森に、今まで経験したことのない感情が溢れだす――。

監督:松居大悟
脚本:舘そらみ 音楽:森優太
主題歌:Ring Ring Lonely Rollss「スロウタイム」
原作:山崎ナオコーラ「手」(『お父さん大好き』文春文庫)
制作プロダクション:アークエンタテインメント 企画製作・配給:日活
©2022日活 2022/日本/ビスタ/5.1ch/99分/R18+

日活ロマンポルノとは

日活が1971年に打ち出した当時の映倫規定における成人映画のレーベル。「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」などの一定のルールと、製作条件を守れば比較的自由に映画を作ることができたため、監督たちスタッフは限られた条件の中で新しい映画作りを模索し、さまざまな表現に挑戦した。

製作終了した1988年までの17年間に、約1,100本もの作品を公開し続けた結果、多くのスタッフ・キャストが育っていき、映画史においては、最もセンセーショナルな作品レーベルとして、現在も国内外で高く評価されている

ロマンポルノ50周年記念プロジェクト継続中!!!

【第1弾】9月16日『手』
【第2弾】9月30日『愛してる!』
【第3弾】10月14日『百合の雨音』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!

Text/AM編集部