ホットドリンクが匂わせになる理由

この原稿を書いているのは残暑厳しい八月下旬ですが、掲載されるのは九月! 秋の気配が近付き、日によっては肌寒さが感じられる季節です。八月まではノースリーブで過ごしていた人も、九月に入り半袖どころか長袖で過ごす機会も増えていることでしょう。

この肌寒さを利用するのです。LINEであれば「急に肌寒くなったねー」「人肌恋しい季節ってやつだね」「お部屋でホットココア飲んでいるよ」と、ホットココアを欲するほど人肌恋しくなっている旨、アピールしましょう。

デート時も同様です。店員さんに「お飲み物は?」と尋ねられたら、コーヒーであろうと紅茶であろうと「ホット」をオーダーしましょう。「ついこないだまではアイスコーヒーばっかりだったんだけどね」「急に肌寒くなったよね」「人肌恋しい季節ってやつだね」と、同じくホットドリンクで人肌恋しくなっている旨、アピールしてください。

「人肌恋しい」というキーワードを聞けば、大半の男性は「ベッドの中で熱い行為をして温まりたいのだな!」と気付くはず。これだけでも充分に伝わるはずですが、念には念を入れたいので、さらに! 来月が十月……つまり人事異動の時期であることを利用しましょう。

人事異動ということは…?

「○○君は異動ってありそう?」という質問から、異動があろうとなかろうと「仕事が忙しかろう」「疲れているだろう」という流れに持ち込むのです。異動があれば「栄転だね」「引き継ぎで忙しかろう」、異動がなければ「今の部署に必要不可欠な存在」「これまでもこれからも忙しかろう」ってことで。

忙しいと、身体に疲労が蓄積します。疲労が蓄積した身体は、マッサージを欲します。そこで魔法の言葉、「私、マッサージ得意だよ」です。マッサージは、言うまでもなく身体に触れる行為。「俺の身体に触れたいのだな」「肩や背中だけでなく股間のマッサージも含んでいるのだな」と気付くはず。

これにて、東京ラブストーリー世代でなくとも、またイエスノー枕に頼らずとも、ヤリたい気持ちを匂わせることができるでしょう。

Text/菊池美佳子