試験管ベイビーという選択肢!「旦那はいらない、子供だけ」というホンネ/湯山女子校開校

第2回:試験管ベイビーという選択肢!「旦那はいらない、子供だけというホンネ」

SOLOイベントレポ
「湯山女子校~女ひとり寿司ですが、それが何か?」講義抜粋
「おひとりさまは、損か得か」“女問答”レポ

“おひとりさま”としての自分を肯定しようとしても、「結婚しろ、子どもを産め」という世間からのプレッシャーは大きいもの。この状況に対し「日本には、ひとりじゃダメだと思わせる物語があふれている」と看破するのは著述家・湯山玲子さんです。
2015年2月から3月にかけて下北沢B&Bで、湯山さんの「おひとりさまの生き方」をテーマにした女性限定の連続講座が開催されました。まるで女性誌別冊の編集会議がごとき濃密な授業内容のごく一部をSOLO編集部がリポートします!
第1回「結婚のメリットを問い直す!『なぜ、結婚したいの? 結婚しないと何がマズいの?』」もあわせてご覧ください。

尊敬できないと欲情できない!?女のポルノグラフィー問題

湯山玲子 湯山女子校
湯山玲子さん(以下、敬称略)

結婚の良し悪しはそれぞれ。むしろ、日本人男性に強くインプットされている男女が支配・被支配の関係にある性のストーリー、すなわちポルノグラフィーの存在は問題ですよ。日本のポルノストーリーは、女性に対する支配力、その理由付けとしての“軽蔑”を欲情のトリガーにするものが非常に多い。

 これがどういう、男女関係を引き起こすか、といえば、「尊敬されるような立派な女になってはいけない。なぜなら、それだと男子が引いてしまうから」ということにつきます。男が「引いてしまう」というのは、すなわち、立派だと女として見ることができない、ということ。こういう女性には、さんざんポルノで強化してきた軽蔑欲情エンジンが使えない。

 これ、言葉にして男性にいうと、けっこう皆反論してきますが、大衆文化の最強力ジャンルのテレビでは、若い女性タレントはみなバカっぽくふるまっているし、周囲によくある「仕事が忙しくて別れた」カップルの少なくない数が、「女性の方が重要な仕事を任され、明らかに出世している」という理由なことからも、ほぼほぼ正しい。

 そんな世の中で、“おひとりさま”としてどう生きていくべきか。実力の爪を隠して、戦略的に男をゲットしていくのも一つの手だけれども、それがすべての女性にとって有効な方策だとは思いません。

 これはもう、世の中を変えようとしても、今すぐってわけではないので、自分でできることをやっていくしかない。まずは、自分がどういうタイプなのかを知ること。どうやったら自分の人生が「自分探しする時間もないほど」充実し、いい感じになるかということを、とにかく体験から探っていくしかない。
それが、ひとりひとりの自立ってことでしょう。でも、みんな心が折れているから行動せず実践が足りない。いや、心が折れている何ぞは甘えで、たいていは、「やってもトクが見えないし、面倒くさいから」行動しないのです。そのくせ、外からラッキーが来ることをひたすら受け身で待っている。
パワースポットに行くカネと暇があったら、現実的にタマを撃て、ですよ(笑)。それが、おひとりさまが生き迷うほとんどすべての要因ではないでしょうか。

参加者のBさん

私は専門職に就いていて、経済的にも社会的にも自立しているつもりでいます。一所懸命勉強して仕事に就いたけど、結婚して子どもを産むという当たり前に考えていたことができていない。相手が関わることだとうまくいかないんです。

 自分が努力してきた分、男性に自分以上に素敵でいてほしいと望んでしまう。ありがちな話だと思うんですけどやっぱりそうなんです。でも出産のリミットも迫りつつあるので、子どもができなくても仲良く暮らしていけるパートナーが欲しいという気持ちに最近はシフトしてきていますね。

湯山

頭がよくて仕事もできるという人でさえ、いや、そういう優等生ほど、世の中の当たり前、について決して疑おうとせず、思考停止で生きてしまう、という良い例ですよね。先ほど女性を軽蔑しないと欲情できないという男性のポルノグラフィーの話をしたので、その体でいうと、自分より尊敬できる相手じゃないと欲情、いや好きにならないというのは女性のポルノグラフィー。

 この二つは釣り合っていて、解決法は、努力してキャリアもある立派なBさんを、ある意味”軽蔑”できるような高みにいるスーパー男性の登場を待つしか無い。しかし、これ今までいなかったのならば、今後はもっと現実的にも無理で、Bさんもそのあたりはわかっていますよね。

 おバカでも、尊敬する女にきちんと欲情して、つまり、恋愛してくれる男性がいいという方向にはシフトはしていきませんかね。これは、若い世代ほどいる率が多くなっていて、最近、よく耳にする“年下彼氏”は興味ない?

参加者のBさん

う〜ん。

湯山

でも、たとえば「相手」が問題で、本当にどうしても子どもを産みたいというのならば、シングルマザーという選択肢もありますよ。

 最近の海外ドラマとかを見ていると、もはや“普通”に家族を作るのはレアなケースになってきているという印象さえある。「ステップファミリー」(子どもを連れて再婚し、血のつながらない親子関係が生じた家族)だったり、レズビアンのカップルが養子を迎えたり。
「家族」というイメージのなかで構成員は誰でもいいっていう、選択の多様性を示しています。

 正直なところ女性としては、子どもが欲しいから結婚するという面が大きいのでは。子どもを持つのは、結婚というシステムに入らないと現状デメリットが多いからするというわけ。それぐらい日本って本当にシングルマザーが生きにくい社会だと思う。

一同

そうですね……。

湯山

安倍政権しかり、シングルマザーが生きにくいような世の中にしているのはなぜか。別に婚姻しなくても子どもを産んで育てられる環境なら、女性は精子バンクから子種を選ぶようになっても別におかしくないからです。
だって、Bさんの悩みがすでにそれを物語っている。立派な自分よりももっと立派なスーパー男性じゃなければ結婚できないというのならば、結婚はともかく、そういう優秀な遺伝子を持つ精子があれば、御の字の子どもができる。

 究極の話、「男はひとりの坂本龍一がいればいい」わけですよ。これ、拙書『男をこじらせる前に 男がリアルに辛い時代の処方箋』(KADOKAWA)に一章書きましたが、男にとってそれは本質的な恐怖でしかない。自分の子孫が残せなくなるかもしれないのに、それを許すような真似はしないでしょう。
近代社会で結婚が求められたのは、それで社会が安定すると考えられたから。でもそうじゃなくても安定する方法があると私は思うし、もはや不都合の方がも目立ってきている。