過ごしやすい秋という季節は儚いもので、朝の冷え込みに震える日々となってしまいましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
2018年も終わりに近付くこの頃、忙しい日々をお過ごしのことと思います。ひと息つきたい時には近くの純喫茶の扉を開けて、せめて数十分でも気分転換をしたいものですね。
私が純喫茶に夢中になった理由
お知らせとなりますが、まもなく12月中旬に今年3冊目の著書となる『純喫茶の空間 こだわりのインテリアたち』(エクスナレッジ)が発売となります。
夏に出版した『純喫茶とあまいもの』(誠文堂新光社)、『クリームソーダ 純喫茶めぐり』(グラフィック社)はどちらも「メニュー」に注目したものでした。
珈琲や紅茶に合わせて頂くと幸福感が増すあまいものたち。そして、光を吸い込んできらきらと輝く色とりどりのソーダたちに浮かぶアイスクリームの雲という、夢のようにロマンチックな飲み物、クリームソーダ。
今回はそこから離れて、私が純喫茶に夢中になった一番の理由である「空間とインテリア」について、美しく撮って頂いた写真たちにそっと言葉を添えました。
扉を開けた瞬間に、ぱっと視界に入るその琥珀色の店内には、初めて訪れるお店ではもちろん、何度も訪れているお店でもはっと心を掴まれてしまうのです。
椅子の脚、テーブルの手触り、照明のデザイン、壁の素材、天井の模様、窓枠の形、そして飾られている装飾品たち……。店主たちのこだわりのもと一つ一つ大切に選ばれ、昭和の時代から今に至るまで愛情をもって維持されてきたまるで美術館のような空間を、ページをめくるごとに一緒に愛でることができたならという願いを込めて。
都内34店舗。メディアで頻繁に紹介されているお店もたくさんですが、改めてこうして眺めてみるとその計算され尽くした美しさに見惚れてしまうのです。
ご自分の好きなお店に何度も通うことも、色々なお店に出掛けてみることもどちらも楽しく素敵な時間です。どちらのお店に行こうか迷ってしまった時やこれから純喫茶巡りをしてみようとお考えの方々、お手元に1冊いかがでしょうか?
発売に伴って、12月15日の17時から神保町にある東京堂書店にて先行発売(とサイン会)を行います(おそらく18時頃終了)。
私からのささやかなお土産として、本書で紹介する純喫茶たちの空間を切り取った2019年のカレンダー、出版社からのお土産として、純喫茶の伝票を模したカードをお渡しします。
神保町、御茶ノ水、淡路町、本郷周辺の純喫茶巡りのついでに足を伸ばして頂けましたら幸い です。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
(イベントの詳細はこちらからご確認ください。)
Text/難波里奈
次回は<知る人ぞ知る、秘密の空間に行けるかも!山小屋のようであたたかみを感じる純喫茶「くすの樹」>です。
東京・武蔵境駅からバスに揺られてたどり着いた「くすの樹」には、本館と別にシャトーが。二つの建物は渡り廊下でつながれているけれど、そこは雰囲気の違うまったく別の空間。一度で二度楽しく、食事メニューも豊富な純喫茶です。
難波さんの新刊『純喫茶の空間 こだわりのインテリアたち』に興味がある方はこちらから!