初代マスターの豊富な話題に聞き入ってしまう

TOM店印

「うちは高校生をアルバイトに雇わない規則なのだけど、あるとても寒い日に、セーラー服を着た女性が店に飛び込んできて『ここで働かせてください』っていうんです。お断りする理由を伝えると『これ!』と手渡されたのは、卒業証書。『今日卒業してきたからもう高校生じゃないんです』と。思わず笑ってしまったのと、彼女が明るくて元気な良い子でしたから、雇うことにしたんです。

すると、『もう1人働きたいという人がいるんですけど…』と言うんです。なんとそこに現れたのは彼女のお母さん。どうやら、お酒を飲むと暴れてしまう父親から二人で逃げようと決めていて、それがちょうど高校卒業の日だったそうで。
でも、2人は雇う余裕はなかったから、お母さんの方には住み込みの別の仕事を紹介してね。娘さんは働きながら勉強して資格を取って、立派に就職したのです。

それからしばらく経ったある日、彼女が僕の前に現れてね。『会ってほしい人がいます。マスターが賛成するなら結婚したい』って1人の男性を連れてきたんです。きちんとした人だったから歓迎して、2人は無事結婚して、旦那さんの故郷である広島へ行ったそうです。もちろんお母さんも連れて。
お父さんはどうしたかって?『県境までは許すけどそれ以上は近づかせていないわ』って」

美味しいホットサンドを頂く前に、こんな風に映画になりそうなエピソードをマスターから聞くことが出来るTOM。

TOMデザート 人気メニューのババロア。こちらには「ジジロア」という名物メニューも!

ちょっと一息つきたいとき、煮詰まったとき、誰かと話したいときに、こちらへ寄ってみてはいかがでしょうか?
今日はマスターからどんな話が聞けるのか、楽しみな時間になりそうです。

Text/難波里奈

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※2017年11月10日に「SOLO」で掲載しました