「もう駄目かも」と思った職場でのできごと
仕事を辞めたかった。
すでに過去形になっている、つまり、ここ数日はその思いも薄れつつあるのだが、そもそも私がここでいう「仕事を辞めたい」とは「クソどうでもいい会議と締切が迫る仕事をすべてほっぽり出して、ど平日に突然有給取って南の島で酒飲みながらダラダラ過ごしてえ~~~~」という意味である。または、「不労所得で生きていきたい」とか「落とし物を拾ったらその持ち主がたまたま来日中の石油王で、恩人として一生融資したい」とか「芋掘りしていたら徳川埋蔵金を見つけ、そのお金で慎ましく生活したい」とか。
まあ、そんなもんなんですよ。私の退職意欲なんて。何か少しでもうまくいかないことがあるとすぐに「辞めてやる」と思っちゃうし。する気なんて更々ない癖に、登録している転職サイトからスカウトメールが来るのを見ては「よし。まだ大丈夫だな」と謎に勇気づけられているし。辞めるのは簡単かもしれないけれど、今のところしばらく働き続けた方が私にとってはメリットがありそうだ。そのため、ああだのこうだの常に文句を言いながらも続けるつもりではいる。
事の発端は、同じ業務の男性社員とウマが合わないこと。仕事のやり方が合わないというのもあるのだが、なんとなくあった担当業務の線引きもあいまいになって、気が付いたら私がやるはずだった仕事が彼のものになっている。
いや、別にいいんですよ。仕事なんてやりたい人がやれば。円滑にことが進めばそれでいいのだが、それにしても一言くらいあってもよくない? それとも私のことをこの職場から排除したいんでしょうか? と、日々なんとなく落ち込む日々が続いていた。
でも言えない。言えるわけない。明らかに親しくない人に対して仕事のやり方を注意するなんてできない。まして私は年下であり女であり、更にこの性格に見た目である。相手は機嫌を損ねるだろうし、関係性は更に悪化するでしょう。もういい年齢なので、目の前の男性が年下の女(この場合は私)に仕事の内容などで注意されて素直に聞き入れるタイプなのかそうではないのかくらいは、なんとなくわかる。この人は明らかに私の言葉を聞き入れない人だ。なんなら、私のことは少し下に見ているのではないだろうか。
あとは、リモートワークになってから自分のミスが目立つようになってきたとか、会社の人と最低限しかコミュニケーションを取らなくなってきたとか。この4カ月間で労働環境が変化し、色々なものが積み重なって、「もう駄目かもしれない」と思い始めたのだ。それこそ、ネットで東京都内の縁切寺を検索し、実際に足を運んで祈願するほどには。まあ、そのあとすぐに退職の気持ちも解消されたので、効果はあったんだろうな。近々またお礼に行かねばならない。
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