テーブルにハート型のバルーンが!

テーブルの中央部、装花の中に、ハート型のバルーンが突き立っているのです。バルーンフェチだということと、このバルーンは関係あるのか。一世一代の晴れ舞台、どうしても大好きなバルーンを採用したかったという乙女心……いや、でも性的な欲望をお持ちなんですよねバルーンに。それを結婚式に持ち込むとはいったいどんな心境なのか。まぁ、いくら考えてもわかりそうにないし、とにかく幸せそうなふたりに乾杯! と同じテーブルの友人らと歓談したり、友達夫婦の連れてきたお子様を愛でたりと、楽しんでいた最中のこと。新郎新婦がゲストの席をまわるテーブルラウンドが行われるとのアナウンスが。続けて司会者がこういった。「テーブルラウンドではバルーンスパークの演出もございます」

新婦の演出は正解かも?

バルーンスパーク? まさか各テーブルのバルーンを割って回るの!? そのまさか。結婚式は長年の夢を叶える機会であるのでいいのだけれど、しかし、この演出が招待客の幼い子どもたちを恐怖へと突き落とすことに。風船のスパークするパンッ! という破裂音に驚いて、泣きだすという悲劇があちこちで発生。同じ卓を囲んでいる友達のお子様が「怖い、怖い……」と震える中、我々のテーブルのバルーンも、幸せの絶頂とばかりの笑みをたたえた新郎新婦により、見事にスパーク!

帰り道に一緒に出席していた友人に「実は新婦、バルーンフェチだって知ってる? だからあの演出は……」とこっそり耳打ちしたところ信じられないという表情を浮かべていたけれど、これまで出席したどの披露宴よりも印象に残っているから、新婦の渾身の演出はそれはそれで正解だったのかもしれない。

Text/大泉りか