やる人が増えれば社会は変わる

本書を読んでいてわかるのは、「他の人があまりやらないことをやろうとするのは、ソフト面ではなく、まずハード面の難しさがある」ということ。少し前まで、単身者が住宅ローンを組める金融機関はかなり限られていたと聞く。やってみたいと思っても、マジョリティ向けに作られている制度や金融機関がそれを阻むのだ。でも、今なら単身女性でも普通に住宅ローンを組める。やりたいと思って、実際にやる人が増えれば、時間はかかるけど社会は変わるのだと思う。

私は10年を経てもなお一人暮らし大好き人間なので今のところ他人との同居は考えていないが、ここからさらに10年、15年経っても同じマインドでいるかどうかはわからない。今後、「誰かと暮らしたい」と思うこともあるかもしれない。そのとき、選択肢が「結婚」以外にも複数あったらいいな……と、本書を読むと明るい気持ちになる。

本書以外にも、二次創作を嗜む同人女がオタク女性限定のアパートを貸し出すマンガ『同人女アパート建ててみた』なども面白いので、関心のある人は手に取ってみてほしい。こちらはフィクションだけど夢があるし、「同じ家で親兄弟以外の他人と暮らす」選択肢、もっともっと増えてくれ〜! と、独身の私は切に願うのであった。