ホストクラブ『愛 本店』に行ってみたら、内装もホストも異次元だった

2年ほど前にホストにハマった女性たちの実態をルポした『ホス狂い』という書籍を出しました。わたし自身は、ホストクラブなんてほとんど行ったことはなく、どこが有名店だ とか、どのグループが大きいだとかもまったく知らないさらの状態から取材を始めて、一冊にまとめたのですが、そんなわたしであっても、その名前を知っていたホストクラブ『愛 本店』。その超老舗に先日、遊びに行く機会がありました。

というのも先週のこの連載で取り上げた劇団『極上世界』の打ち上げに誘っていただいたのですが、その会場が『愛 本店』だったのです。なんで打ち上げをわざわざホストクラブで!?と疑問は残るものの、確かにめちゃくちゃ興味はある。王子様みたいなホストが主流の今、愛のホストたちはどんなであるかに……。というわけで、ふたつ返事で「行く!」と答えたのでした。が、それが想像の斜め上に凄かった。

そもそもホストクラブといえば、キラキラでゴージャスな内装であることが多いのですが、愛本店はレベルが違う。入口からしてドデカイ「愛」の文字が輝き、アーチになっている真っ赤な階段を下りた先のエントランスには大きなシャンデリア。入り口のドアは金ピカ×赤でやはり「愛」の文字。中に入るとなんだかよくわからないけどデコラティブなオブジェがこれでもかというほどに飾られまくっていて、円形のソファ席を囲むようにはアンティーク風のランプがずらりと並んでいる。そして壁紙はなんとヴェルサーチ。どこを撮っても映えるし、ギラギラなのになんだかまとまっていて、下品になっていないのが凄い。まさに「アガる!」って感じの空間なのです。

個性的すぎるホストたち

そこにいるホストたちもわりと異次元。っていうのも、年齢層が若干高めのベテラン揃いであることは、あらかじめ予想がついていたものの、まさかのギャル男がいる! 今どき、髪の毛を横に流したスタイルの男性って見ないじゃないですか。でも、流してるんです。胸元をクロムハーツのネックレスで飾り、もちろん靴は先っぽがとんがったやつ。しかもそんなギャル男テイストのホストがひとりだけではない。瞬く間に平成にタイムスリップした気分。

そんないにしえのギャル男風ホストのひとりに「パラパラとか踊れるんですか」と尋ねたところ「もちろんよー! 昔、ヤシブ(渋谷)のクラサー(サークル)で踊ってたし」とチャラく返って来て、踊ってくれたりと、非日常な世界にどんどんと昂揚感が上回り、ひたすら笑い転げる120分。初回料金は5000円でしたが、あれだけ笑えれば元が取れるどころではないのだろうか。

中には普通に若いイケメンもいたけど、「なんでひとりだけイケメン?」と同行者に突っ込まれるくらいには逆に完全に浮いているし、ニュース番組のアナウンサーですか? というような爽やかすぎるミドル男性もいたり、「一番年上のホストっていくつ?」と尋ねたら「僕より上だと……66歳ですね」ってとにかく皆、個性的すぎる。これまで行ったことのあるホストクラブとは、まったくの別モノというか、むしろ『愛 本店』という独自の業種ではないかと。マジでめちゃくちゃ楽しめるので、ご興味ある方は初回で行ってみてはいかがでしょうか。めちゃくちゃオススメです!

Text/大泉りか