推しを自分のお腹に転生させる!一晩限りのミュージカルに感動

墨田区の向島に大道芸術館というちょっと変わったミュージアムがあることをご存知でしょうか。元料亭だった三階建ての和風建築の中に、かつて『元祖国際秘宝館・鳥羽SF未来館』に展示してあったエロティックなマネキンをはじめ、アウトサイダーアート、バッドアートなど、天才編集者の都築響一さんのコレクションがぎっしりと詰め込まれていて、二階にはバーもあり、ラブドールと並んでお酒を飲むことも可能。まさに大人のための遊び場といった趣なのですが、友人のバーレスクパフォーマーFURI RIOT、通称ふりと、ギャルのともちんぱというコンビが、そこを貸し切って一晩限りのミュージカルを興行するという。友達の活動は応援したいし、そもそも出演者のメンツを観るだけで面白くないわけはない! と観に行くことにしたのでした。

推しを自分のお腹に転生させる!

というのも、実はこの劇団『極上世界』の公演は二度目。一度目は今年の4月に歌舞伎町の老舗ホストクラブ『愛 本店』を借り切って行われたのですが、時間の都合がつかずに観ることができず、終演後に行われたパーティーにだけ参加したものの、ずっと心残りに思っていた。なので、今回は後悔しないようにと急ぎチケットをキープ。演目のタイトルは『極上世界 輪廻転生編〜はやく産まなきゃ、ァンタを~』。死んでしまった「推し」を悼む主人公の<ぱにぱにぱにぱにともちんぱ>。「自分のお腹に転生させる!」と決めるも、その望みは叶わぬままに幾度も転生を繰り返すというストーリーで、主催者のひとりであるともちんぱの「推しが自殺してしまった」という実体験から着想を得たそう。

<ぱにぱにぱにぱにともちんぱ>を演じるのは『ゴキブリコンビナート』の我修院達子、ストリッパーの黒井ひとみ、シャンソン歌手の蜂鳥スグル、以前AMにも登場している地下セクシーアイドル『ベッド・イン』、謎のユニット『ポポチョリス』でお馴染みの益子寺 かおり、ドラァグクイーンの634・マンガリッツァ、『ネコニスズ』というコンビで活躍中のヤマゲン、アーティストの山田リサ子、パフォーマーのToshishiといった濃ゆすぎるメンツ。

ギャル原始人や、童貞の天才ボーカリスト、ギャルデリヘル嬢、人造人間、三途の門番、男を愛した男、無精子症の男を愛した男と、様々な性別も人生もまったく違う人物に転生するも、無念のまま死亡をくりかえすそれぞれ彼ら彼女らのストーリーを、現役の僧侶でかつ『ドドん』で芸人としても活動している石田芳道、僧侶修行中で劇団『アフリカ座』にも所属しているという牧之内大輔のナビゲートで辿っていく、という構成。ふりちゃんとともちんぱは、転生のストーリーを演目と決めた際、まずは四谷にある僧侶バーに行って、おふたりに出演交渉をしたらしい。行動力がありすぎる。し、そもそも一度目の公演の会場は『愛本店』で二度目が大道芸術館って、なぜにそんなコネがあるのか……。