恋人と花火したことある?わたしは男子のケツアナに突っ込んだことがある

人に薦められた映画や本は、なるべく観たり読んだりするようにしています。というのも、自分のセレクトだとどうしても限界があるというか、ついつい傾向が似てしまう。映画や本なんて、好きなものを好きに楽しめばいいわけで、それでなにか困ることもないのだけど、やっぱり見識を広げるという意味で、あえて自分では選ばない作品を観たり読んだりしたほうがいいとも思うのです。まぁもちろん、信頼できる人のオススメという条件はつくのですが。

あまりに青春な描写に悶えて…

そういうわけで先日、知人に薦められて今さらながらに、2010年公開の浅野いにお原作の映画『ソラニン』を観ました。入社二年目で衝動的に会社を辞めたヒロイン・芽衣子と、バイトで食いつなぎながらも音楽で成功する夢を捨てきれない種田。ささやかな幸せと、将来への不安を抱えながら、不安定な生活を互いに支え合って暮らすふたりのモラトリアムな青春物語。どう考えても、47歳の子持ちバツイチ女が観る映画じゃねーよねーって最初は苦笑していたんですが、あまりに青春な描写の連続にやられて、度々ギャー! と声を出して悶えてしまった。わたしにだって乙女なところはあるんです。

ところが中盤、男三人女二人(うち二組カップル)で花火をするシーンがあって、そのエモさにのたうち回ったところで、気が付いたのは「あれ……恋人と花火したこと、なくない?」という衝撃の事実でした。花火なんて夏のテッパン行事すぎて絶対にあると思っていたけど、記憶をどれだけ掘り起こしてもない! 嘘でしょ~!

自転車二人乗りとかつないだ手を相手のコートに入れるとか海に浸かりながら抱き合ってキスをするとか、そういう数あるイチャイチャの定番ムーブの中でも、花火なんてその際たるものだし、実現するのもわりと可能。都心部だと花火ができる場所があまりないってのも事実ですが、それにしたって一度か二度くらいは経験があってもいいではないか。ここ数年は子どものために旅先で花火をしたりもしているけれど……なんてことを考えていたら、花火にまつわる地獄のような思い出が蘇ってきた。

青春のケツアナ花火

かつてピンクローターズというユニットを組んで、定期的にエロイベントを開催していた頃です。男子のケツアナに花火を突っ込む、ショーというか余興がメンバーの中でブームになったことがありました。いま思えばバーとかライブハウスの室内で花火をするなんて迷惑千万……。

逆に突っ込まれたこともあり、それは渋谷にかつてあったシャンソンの箱で、SMの女王様ふたりに責められるというショーに出た時だったのですが、アヌスに挿し込んだ花火に火をつけたところ、煙に火災報知器が反応してショーが中断。半裸のまま、客とともに慌てて一旦、ビルの廊下へと避難した。花火の思い出がそのふたつってどういうことなのだろうか。つ、つらい。けれどそれがわたしの青春であった。

Text/大泉りか