恋愛しない若者を嘆くフェーズは終わった

しかし、世界全体で見ると今後も人口は増え続ける。2019年には77億人だったのが、2050年には100億人弱になる見込みだそうだ。フランスも北欧も日本も軒並み人口が減っていくのにどこでそんなに人口が増えていくのかというと、本書の予測ではインドとアフリカである。

個人的には、子育て世帯への支援を手厚くしたり、保育士の給料を上げたりすることは絶対に必要だけれど、もはや少子化! 若者が結婚しない恋愛しない! とだけ嘆いていればいいフェーズはとっくに終わったと思っている。なぜなら、もうこの未来は避けられず、産めよ増やせよではどうにもならないところまで来たからだ。少子化の議論とは別軸で、高齢社会をいかに上手く回すか、人手不足の中でテクノロジーをいかに使うかなども議論していったほうがいい。怒られるかもしれないけど、真剣にそう思う。

金の延べ棒を買えばいいのか?

人口動態とは逆に、すごく予測が難しいのがテクノロジーだ。iPhoneが発表されたとき「いっぱい指紋がつきそうな携帯」としか思わなかったのはたぶん私だけじゃなかったはずだし、生成AIが今後どう進化していくかもまったくわからない。中には人類に牙を剥くテクノロジーもあるだろうけど、新しい技術は概ね、人々の生活を快適にしていくと思う。たとえば、IoT技術がどうにかするはずなので、私は孤独死に関しては本当にまったく不安がない。一定期間以上生体反応がなければ自動で通報するシステムみたいなのが、いずれすべての住宅に標準装備されるようになると思うので。

というわけで、誰がどんな選択をしても損しない社会を作っていくことを、私も独身子なしなりに考えている。ただ本書で1つ心配なのは、日本の公的債務の対GDP比は世界の主要国の中でもっとも高く、将来的にデフォルトを起こすかもと書いてあったことだ。どうしたらいいんだ。金の延べ棒とか買ったほうがいいのかな……?

Text/チェコ好き(和田真里奈)