【見出し】どんな人の「食」も「生」も否定しない

私は少食な上に、お酒もグラスの三分の一くらいの量を飲むだけで顔が青ざめてしまうくらい弱い。もう「食を楽しめない体」を天から罰として与えられたとしか思えないのだが、そんな私をも、神は見捨てたりしなかった。私は実は(?)、カフェインにだけはめっぽう強いのである。

夕方にコーヒーやエナジードリンクを飲んでも、夜はころんと寝てしまう。起きていたいときは難儀だが、カフェインにすごく強いので、紅茶やコーヒーをいくらでも楽しめる。コロナ禍で家にいる時間が長くなってからは、とにかく紅茶を飲みまくってダージリンとセイロンとアッサムの違いもわかるようになったし、アールグレイにいたってはマリアージュフレールからジャンナッツまで飲み比べて、自分のお気に入りを探究するのが楽しい。「食(まあ、正確に言うと『飲』だけど)を楽しめる自分」もちゃんといるんだなと、30代半ばになって、ようやく少しだけコンプレックスが解消されてきた気がする。

そして「食」は良くも悪くも、やっぱり「生きること」そのものに繋がっている。『食べる私』は、どんな人の「食」も「生」も否定しない。

「なんだ、これでいいんじゃん」と思わせてくれる本書、「食」や「料理」や「家族」みたいな言葉に抵抗がある人ほど、実はおすすめできる本だと思う。

Text/チェコ好き(和田真里奈)