前回の記事、わかるとわかれる<1>の続きです。
何年も前に本で読んだ夫婦の話でした。
夫が妻に暴力をふるっている。
いつものように実家に逃げた妻が、突然彼を理解し、許した、
というところまででしたね。
続き、行きます。
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・・・彼女がパーッと霧が晴れたように、
彼の病的な暴力の原因を理解し、
怒りも恐怖も恨みもすっかり氷解し、
彼を完全に許した、というのを読んだとき、私は
「ああ、ここからようやく、
二人は暴力のない関係をはじめられるのかなぁ・・・
よかったねえ・・・・」
と思ったのですよ。
だから、夫が実家に迎えに来たときに、彼女は心から喜び、
そして、新たな、そしてある意味、初めての、
健全なスタートを切るのだろう、と思ったのですよ。
あなたもそう思いませんでしたか?
ところが・・・!
ところが・・・・!!
彼女は迎えに来た彼に、晴れやかにこう言いました。
「私たち、離婚しましょう」と。
・・・え!!!!!
と私は衝撃を受けました。
そしてしばらく経ってから、
「なるほどなあ・・・・現実はこういうものなのかもなあ・・・深いわぁ・・・」
としみじみ思ったのです。
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あなたは、どうして彼女が離婚しようと決めたと思いますか?
私はこの彼女の心の動きについて、何度も考えました。
そして今思うのは、
彼女は彼の暴力についてすべてが理解でき、すべてを許したとき、
初めて、起こっていた出来事の渦中ではなく、
離れたところから「全体像」つまり「真実」を見ることができるようになった。
だからこそ、彼との関係を卒業できたのではないか、ということです。
彼女はずっと、つらい目に遭わされ、彼を恨みながらも、
彼から離れられなかった。
愛なのか執着なのかわからない状態で
お互い傷ついていた。
その理由は、彼女の心が盲目だったからではないか?と思うのです。
いえ、盲目だったのは彼女だけではなく、きっと彼もです。
「わからない」から、いつまでも混乱の渦から抜け出せなかった
のではないでしょうか。
「わかる」ということは、混乱の渦の外に出ることです。
自分がいた渦を、外から見られるということです。
彼が暴力をふるう原因が腑に落ち、
自分と彼がどうしてあんなふうになっていたのかを、
正しく冷静に、距離をおいて見られるようになったことで、
彼女は、怒り、恨み、不安、混乱から解放されたのではないかなあ。
そして、もしかしたら彼女は、
「これだけ深いところに原因がある暴力は、簡単には治らない。
このまま一緒にいても、二人とも不幸なだけなのではないか」とわかった。
だから「それぞれの道を行きましょう」と晴れやかに思うことができたのかもしれません。
ここで一回別れて、またいつか出会い直せたとしたら、
そのときが彼らの本当の本当に新しいスタートなのかもしれませんね。。
ところで私は、夫を理解した奥さんが、
別れることだけが正解だと思っているわけではありません。
厳しい道のりになるとは思いますが、
別れずに、よりよい関係を築いていく道もあると思います。
まあ、どうするかはケースバイケースなのでしょうね。。
このエピソードでは、「離婚しよう」と決めたということです。
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私たちは、「わからない」うちは、問題の渦に巻き込まれ、
ずっと悩んでいます。
だけど、そこになにが起こっているのかを正確に「わかる」ことができると、
やっとその渦から外に出ることができるのだと思います。
とことんもがいて、苦しんで、
少しずつ、そしてようやく「わかる」こともあれば、
本とか誰かの言葉なんかをきっかけに
「あ、そうだったのか!!!」と突然「わかる」こともあるでしょう。
最初に書いたように、
「理解」「一体」「融合」「融和」というと、
思わず「一つになって、ずっと一緒である」
のようなイメージを持ちがちだと思いますが、
実際の行動や起こることは、一見するとその逆が多いです。
またまた長~くなったのでここで切ります。
また続きをアップします。