「私は不毛な恋愛しかこの先もできないのではないか?」
一回”女”を経験したあとに待ち受けていた落とし穴

―最終的にはギャルになるのはあきらめたんですか?

雨宮:その人に振られたので「ギャルにならなくてはいけない」という強迫観念からは解放されました。
年齢的にもギャルはもうヤバめな感じだったので、まぁ次は自分の好きな格好すればいいやって。

―フラれたときはどんな様子だったんですか?

雨宮:地獄のようでした。「その人に認められたら、女として自分を自分でも認められる」と思って頑張ってフラれたから、女としての自分、全否定ですよ。
見た目だけじゃなく、心の部分でも離れて行かれてしまったので「見た目だけじゃなくて、私は心もダメなんだ」って、そのときはけっこう発狂しそうになりましたね。

―それまでの高校や大学時代と比べて、一回女としてやっていけそうだったところで、もう一回ショックがあったのですね。
そのあと、そこからどうやって脱出したんですか?

雨宮:その後も何人か、お付き合いをした人はいるんですけど、同じパターンが多かったんですよ。
いいなと思う人がいたら、その人の気を引こうとして、その人の好きな女がどんなタイプか考えて、うまくそのパターンに自分をあてはめられると、女としての自分の価値が認められた気がする…ってことをついやってしまってて。

 それって、女として認められるのが嬉しいからやってるだけで、ふと気がついてみると「私この人のこと本当に好きなのかな」って思う瞬間があったりするんです。

 そう思うと、今度は外見や女としての自信とかが問題じゃなくて「私って、なんて不毛な、自己中心的な恋愛をしてるんだろうっていう内面の問題になってきて。
人とちゃんとした関係、実りのある恋愛ができないんじゃないかと思えてきて、ゾッとしちゃって。
普通のカップルみたいに付き合ってるつもりだったけど、真剣にちゃんと相手と向き合って恋愛していると言えるようなことって、あったんだろうかって。

 好きだった気持ちが嘘だとは思わないけど、自分が必死になっているということと、相手のことを本当に考えているかどうかってまた別の問題じゃないですか。
コミュニケーションとして、ちゃんとした関係が築けていたのかって考えると自信がなくて。

 それが見えてきたときは、見た目の欠点が見えたときよりずっと落ち込みましたね。

―相手のことは好きなんだけど、相手のこと自体は考えてないっていう状態でしょうか?

雨宮:自分のことを好きになってほしいだけですからね。
「相手のためにこうした」と、心から言えるようなことが、自分にはあったんだろかって。
それに気づいたときには、こんなトシになって、何やってるんだと思いました。