ひとつに絞れないなら全部面白くする

松㟢翔平さんインタビュー

――昨年はテラスハウスで話題をさらっていかれて…

松㟢

人生のハイライトですね(笑)

――テラスハウスに出て、環境は変わったと思われますが、ご自身に変化はありましたか?

松㟢

番組は1週間を40分くらいにしているので、当然視聴者の知らないことの方が多くなるじゃないですか。その空白を視聴者がそれぞれに補完していって、勝手に僕らのイメージが作られていく。
それが最初はすごく嫌で、「ちげーよ!」とか思ってたんですけど。でも、そもそも人は普段の生活でも、他人に見られて、その人の中でイメージを補完されているものでしかないってことを力技で思い知らされたんです。それは面白いし、豊かだなって。

――番組では、翔平さんの語る「俳優専業を目指さない」「いろいろな仕事で稼げばいい」仕事観にも大きな反響があったと思います。それは昔から考えていたことなのでしょうか?

松㟢

いやいや、最初の事務所に所属していた頃は、「役者一本でいかなきゃ」と思っていました。バイトしていることも恥ずかしいぐらい。

――それが何故今のような考えに?

松㟢翔平さんインタビュー
松㟢

22,3歳くらいのときに、役者でめちゃくちゃ売れるのが見えないと思ったんです。
同世代の菅田将暉くんや染谷将太くんを見て「すげえなあ、あんなふうになれないな」と。とはいえ、役者を辞めたくはない。じゃあ、役者を辞めずにすむにはどうしたらいいんだろう? と考えだして。
50歳、60歳になっても、売れてなくても役者を続けていたい。そしたら他の仕事でお金を稼がなくちゃいけないけど、ならその仕事は面白いほうがいいし、役者にフィードバックがないと時間を売るだけになっちゃう。
なにか大きなきっかけがあって変化したわけじゃないんですけど、徐々に社会の荒波にもまれて(笑)そのほうが卑屈にならずにすむし。

――お話を伺っていると、番組での印象とは変わってきますね。

松㟢

そうですね。挫折というほどではないけど、そのとき上手くいかなかったら、じゃあ考え方を変えてこうしようとか。僕はガツンと一発でいける何かを持っているわけじゃないので、許されるうちにいろいろトライアンドエラーするしかないなって。