少年院出身の女子大生アイドル、戦慄かなのさん19歳。
この一行だけでも、アイドルのプロフィールとしては強烈である。アイドルグループ「のーぷらん。」を脱退後、講談社主催のオーディション「ミス iD2018」にてサバイバル賞を受賞。人形のような甘いルックスと、その過激な言動のギャップも大きな話題となっている。
イメージが重要なアイドル業界で、彼女は自分をさらけだし、受け入れられようとしている。彼女は、なぜ現在のスタイルでアイドル活動をしているのだろうか。
これからどういったアイドル・女性像が求められているのか、聞いてみた。
少年院出身の少女、アイドルになる
――少年院を出た後、アイドルになったきっかけは?
スカウトされたのがきっかけでした。小さな頃から、モーニング娘。に憧れていたし、ダンスが好きだった。でも、私が王道のアイドルになれるわけもない。出所後に地下アイドルという存在を知って「これだったら私でもできそう」と思ったんです。
――アイドルは、イメージが大切になるお仕事ですよね。少年院にいた過去を公表したのは、なにがきっかけだったんですか?
以前所属していたアイドルグループを脱退するまで、経歴は隠していました。ミスiDも、応募の時点では少年院にいたことは伝えていなかったんです。けど、最終面接のときに「何か爪痕残さなきゃ」って思って……言っちゃいました(笑)。
――最初に隠していたのは、事務所から言われて? 自分を隠すことに、葛藤はありませんでしたか。
そうですね。黒髪で、キラキラな振る舞いをしてました。少年院出身を売りにして人気が出る訳がないと思ってたし、隠すのは当然だなって。と言っても地下アイドルなのでゆるいんですよ。そうすると、段々やりたい放題できるようになってくるんですよね。実際、当時メンバーと仲が悪くて、結構バチバチしていたんです。デビュー前日も口論になって、相手にお茶ブッかけちゃって(笑)。
――ええっ?!
ある日、ライブのMCでこのエピソードを話したら、お客さんがドッと笑ってくれたんです。「こんなにウケるんだったら、もう隠すことなくない?」「もうぶりっ子しなくてもいいんじゃない?」って思うようになって、そこからだんだん素を出せるようになりました。
――過去や素性を受け入れてくれるファンを、しっかり掴んでいたんですね。そこからグループを脱退して、ソロ活動をはじめようと思ったのはどうしてでしょうか。
自分がやりたいと思うものをやりたかったっていうものあるし、ソロなら私のことを好きな人だけが集まると思ったんです。大学受験が差し迫っていたタイミングでもあったし、まずは辞めてみることにしました。
――今のようにコラムを書いたり、素のキャラクターをさらけ出すキャリアプラン、もともと描いていたんですか?
全然! 最初は、Twitterで自撮りとか載せてチヤホヤされるところから始まったし、芸能界に入ろうとも思っていませんでした。自分が好きな音楽作って、好きな振り付けでやって、それで稼げるなら超ラッキーじゃん! くらいの感覚ですね。