矢部浩之の甘くメルティな包容力
今からすごくすごくデリケートなことを書こうと思います。
デリケートなところのかゆみを自分で治すようなことを書こうと思います。
ここから先、インクの代わりにフェミニーナ軟膏で書いてると思ってください。
最初からインクなんか使ってねえ、という問題にはもちろん触れないでください。
矢部浩之。
言わずと知れたナインティナインのツッコミ担当であり、サッカー部時代の先輩である相方・岡村隆史への「敬語ツッコミ」というスタイルは、彼の発明とも言えるでしょう。
その物腰やわらかなキャラクターは、お笑いに対してストイックなあまり、ときに思い詰めてしまいがちな岡村を「ええよ、ええよ」とおおらかに包み込むような雰囲気を醸し出しています。
事実、岡村が2010年に「頭がパッカーン」(本人による表現)となり、およそ5ヶ月間の長期休養から復活を遂げてからというもの、彼をときにたしなめるような、ときにあしらうような、ときに慰めるような矢部のツッコミは、ツッコミというよりもむしろ「ホスピタリティ」や「カウンセリング」や「ヒューマンヘルスケア」などと同義語であるかのように、私には感じられたものです。
翌2011年夏の27時間テレビで、総合司会として岡村を一人スタジオに残した状態でマラソンに挑んでいた矢部は、番組の終盤にほうほうの体でゴールするやいなや、スタジオと、そしてテレビの向こうの視聴者全体に尋ねかけるように、こう言いました。
「あのー……おもしろかったよね?」
その脱力感あふれる一言はしかし、27時間の長丁場を孤軍奮闘していた相方・岡村の労を、まるで神の視点からねぎらうような安心感と優しさをその場にもたらす、矢部浩之という人間を象徴するような一言だったように思います。
でも、ごめん、あえて言います。
矢部のその、すべてを受け入れ、包み込み、許してくれるメルティな甘さが、こと恋愛に関しては「ダメ男」にも転じてしまうということを。
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