“人脈”という甘い蜜に溺れて芸能界のダークサイドへ『キレイになりたくて』(後編)

 前編に続き、グラドル小阪由佳の官能小説デビュー作『キレイになりたくて』のヒロイン、20歳グラビアアイドルとカメラマンとの芸能界セクハラ&パワハラ事情をお送りします。

映画のヒロイン役をちらつかせ、否応なしに…

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 杉本彩、矢部美穂、今野杏南に栗まり、小滝香蓮、そして小阪由佳。彼女たちの共通点といえば、『セクシー系の芸能人』で、かつ『官能小説』を書いていることです。

 自らの『セクシー』を『肉体』を使って表現するか、『文章』を通すか、という違いこそあれ、根源にあるのはどちらも『見られたい』『読まれたい』という表現欲と承認欲求。
だから、肉体を使って表現していた人が、「ビジュアルというフィルターなしに、内面を表したい」いと欲望し、官能小説を書くことにスライドするのは、とても理解できる行為です。

 また、『官能小説』には、ほんのりと『知』の雰囲気が漂うところも、表現したい女にとってはまた都合よく、それは、ネットの掲示板にエロい自画撮りを載せるよりも、「芸術のためなら脱ぎます」という言い訳をしてカメラの前に肌を晒すほうが、女のプライドが保たれるのと同じこと――
というわけで、前置きが長くなりましたが、一時期心配されていた激太り&奇行から見事復活した元グラビアアイドル、小阪由佳の描く“こさかんのう”『キレイになりたくて』(双葉社刊)。の後編レビューをお送りいたします。

「次の映画は、不倫がテーマで、リアルな濡れ場が大きな見せ場なんだ。だから、そのシーンをこのカメラで撮影して、沙希ちゃんをテストしたい」
 片山は沙希の様子を窺うような姿勢など一切見せない。さもそれが当たり前であるかのように言った。
「実際に、するっていうことですよね」
「ああ、そうだよ」
 沙希は少し考えて答えを出した。
 もう迷いなどない。今までの数々の努力は、この時のためのものだったんだろう。すべてを賭けて挑むべきものが、こうして目の前に現れたのだ。
 (中略)

「さすがはグラビアアイドルだ。身体に関しては文句のつけようがない」
 片山は沙希の背中側に手を回すと、ブラジャーのホックを外す。弾力のある山の頭頂部に積もる桃色の一帯を指で撫でると、プクッと先端が膨らんだ。片山がそれを指でつまんでは強く引っ張る。
「うっうっ……い、痛い……」
 沙希が身体を震わせると、片山はニヤリと笑い顔を近づけてきた。唇を重ね、強引に下がねじ込んでくる。片山は片手に持つカメラで、その様子を克明に映しているようだ。二人の口の中に住むピンク色のイルカが、出会いに心躍らせ、絡み合い愛を交わす。‟ピチャピチャ“と、悦びの水音が響いた。
「随分と毛が薄いんだねえ。処理しているのかい?」
「い、いえ。特には……」
 片山は、繊細な毛並みを幾度か撫で付けると、さらに手を伸ばし、中指を潤い始めた壺の中へと埋めていく。
 (キレイになりたくて P176L15-P180L12)