人生がどうでもよくなるような経験をして、一人で飲み歩くように
――辛かったら話さなくて大丈夫なんですけど、どんないきさつで……理由ってあったんですか。
M: その人、就職留年してバイトをしてたんですが、なかなか長続きしなくて。しばらくしてようやく就職が決まったのに、突然手紙を残して失踪しちゃったんです。
その時はみんなで嵐の中を必死に探して、なんとか海で死のうとしてた彼を見つけたんです。その後、心療内科に通ったりもしてたんですけど、また首を吊って……。
――かなりヘビーな経験ですね。
M: 今でも残ってるのは、亡くなる前の晩に「今度の精神科は良さそうだよ」って向こうが連絡くれたのに、私が冷たい対応しちゃったこと。
その頃は私も大学中退してバイトしてたんですけど、向こうが働けないからデートのときとか私のほうが多めに出していて。
こっちはセクハラとかも受けて大変な思いして働いてるのに、どうしてこの人は仕事が続けられないんだろうって思ってしまって……。
後で「悪かったな」と思ってメールしたんだけど、返信がないまま次の日に亡くなったんです。
――……でもそれは、Mさんのせいではないと思うよ。
M: そうですね。今考えると、優しいけど少し精神的に不安定な人だったのかなと思います。
で、そのことがきっかけで「人生なんてどうでもいいや」って思って、一人で覚えたてのお酒を飲み歩くようになったんです。
――お酒でも飲まないとやっていけないもんね。Mさん、食べたいのどんどん注文しな! 甘いのとか!
M: すみません……今でも話すとなんか悲しくなっちゃって。
でも私、霊感のある知り合いに「あなた、男の人がついてるわよ」って言われたことがあるんですよ。
だから、その亡くなった彼が最近まで私に憑いてたのかなって。でも妊娠して結婚が決まったら消えちゃったみたい。
――憑いてるっていうか、見守ってくれてたんじゃないかな?
M: そうですね。「もう大丈夫だから僕は行くね」ってことかな。
でも、結果的にはそれがきっかけで一人で飲み歩くようになったから、今の旦那さんに出会えたんですよね。
――ああ、なるほど。旦那さんは、飲み屋で知り合った人なんだね。
M: そうなんです。
次回は、旦那さんとの出会いから現在までのMさんの結婚事情についてお届けします。
Text/遠藤遊佐
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