今、いいところなのに!
発信元を見ると「03-」から始まる番号だった。間違いなく今回の企画に対する折り返し電話だろう。いいところだったが、締め切り間近なため電話に出た。しかし、話が長い!
「あのですねぇ、『スッキリとした味わい』の部分ですが、それよりも、『果実のまろやかさ』部分を強調してもらいたいんですよ。文字数の制限があるので、そちらに変えていただきたいのですが、よろしいですか? あと、これ、現在テキストベースで送っていただいていますが、デザインを組んでゲラになった時も見せてもらえます?
というのも、ウチの部長がうるさくて、ウチの商品の周囲にどんな商品があるかを知りたいって言うんですよ。アレね、なんというか、企業の『格』ってあるじゃないですか。同じような格の企業と並びたいらしいんですよね」
このように、この人の話はとにかく長い! 「あ、そういえば」が続き、カオリさんは「早く終われ!」の表情をするものの、途中からニヤリと笑った。なんと、僕のアソコをしゃぶり始めたのだ。しかも、わざとジュポジュポと音を立てる。マジメな電話をする僕を見上げ、ニヤリと笑い、手と口の動きを加速させる。
電話中の僕にカオリさんは…
僕は電話をしながら「ウッ」だの「アァ」だのと言うが、「アァ」のあとは「そのようにします」などと電話の相手に言った。「あぁ、そのようにします」という風に聞こえたことだろう。
そのまま彼女はしゃぶり続けたのだが、また電話が来て同様の展開になった。なんでこのタイミングで電話をかけてくる相手は話が長いんだ! そもそもメールでいい話を長々と電話で喋るのはやめてくれ! と思うも、それも相手の仕事の流儀。
結局、挿入時も電話が来たのだが、カオリさんはわざと時に「アァン」などと喘ぎ声をあげる。その時は通話口を慌てて塞いで聞こえないようにしたのだが、明らかにカオリさんは僕が狼狽するのを見て楽しんでいるようだった。以後この手の仕事をする時は「メールでの返信をお願いします。その方が正確な指示になるため、ありがたいです」と添えるようになった。
Text/中川淳一郎
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