万一、子どもがほしくなったら?

私の場合は筋腫がすくすく立派に育ちすぎて、主治医の先生にも「いずれ手術も検討した方が」と言われており、「40歳になったら子宮をとります!スパッと切ってつかあさい!」とハキハキ答えていた。

全摘を選んだのは、もちろん妊娠を望んでいなかったことが前提だ。
子どもがほしければ(筋腫は不妊の原因にもなるので)もっと早い段階で手術していた。女友達にも、筋腫のみを取り除く温存手術をした後、妊娠出産した子が何人かいる。

「40歳になったら」と計画していたのは、自分の中にわずかな不安があったからだ。

私と夫は「子どもはもたない方向で」と同意していた。
二人とも絶対ほしくなかったわけじゃなく、「パートナーが望むなら、ヨッシャー!!と己をビンタして子どもを作ろう」と思っていた。いざ話し合ったところ、お互い子どもを望んでないことがわかり、ほっと胸を撫で下ろしたのだ。

それから十余年、夫婦と猫二匹で暮らしつつ「我々はやはり子どもをもたなくてよかったな」という思いは年々深まっていた。

が、ある日突然カミナリに撃たれたり、神社の階段から落ちたりして、子どもがほしくなったらどうしよう。その時にできるかはわからないけど、クッソー子宮とるんじゃなかったと後悔するのはイヤだし、とりあえず40まで様子を見るか…と考えていた。

でも39歳の時「いや、べつに自分で産まなくていいよな」と思った。

私は血の繋がりに興味がないし、遺伝子を残したいとも思わない。私と夫も生物学上は赤の他人だし、子どももそれでオッケーだ。もし万一子どもがほしくなったら、親が育てられない子どもを養子として迎えればいいのでは?
と考えたら、すとんと気が楽になった。夫にその話をすると「わかった…もし養子を迎えるなら、ブラジル人かアフリカ人がいいな」と言うので「たぶん日本の法律では難しいんとちゃうか」と答えた。

そんなわけで、私は一点の迷いもなく「とるぜ、子宮!」と決心できたのだ。

当時、入院から退院後まで日記をつけていたのだが、それを見ると「エロ漫画でおなじみの浣腸!」「へその掃除が地味につらい」「最悪の地獄は拘束プレイ」「VIO脱毛やってて正解!」「初オナニーに挑戦」「屁が痛い」「中二病でよかった」…等など、さまざまなことが書いてある。

ちなみに「中二病でよかった」は、手術痕についてだ。
私は手術で体に傷が残るのが、全然平気だった。傷=カッコイイという認識だからだ。
手術後、夫に腹の傷を見せると「おお、ポンチさんが渋くなってる!」と言われて、さすが我が夫と思った。
というのも、傷が残るのは平気と話すと「でも女の子なのに…」「可哀想に…」とか抜かすオッサンもいて「うるせえな」と思っていたから。
やはり持つべきは中二病の夫である。
その日記を見ながら当時を振り返り、次回も続きを書きたいと思う。

Text/アルテイシア
※2017年6月27日に「TOFUFU」で掲載しました

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