夫婦の尻対決
そんな二人だが、普段は一緒に入浴することが多い。
今さら風呂場でおっぱじめるようなことはなく、片方が湯船につかりながら会話するという『毎度お騒がせします』の父子的なコミュニケーションの時間だ。
ちなみに夫は「湯船につかって食べると美味い」と言って、いつもバナナやみかんを持参する。
一方、私が湯船につかっている間は「いいケツしやがって」と夫の尻を凝視している。それは欲望ではなく羨望の眼差しだ。
鍛えている夫の尻は、見事なプリッケツなのだ。それに比べて、運動とは無縁の人生を送ってきた我が尻は、十代の頃から垂れていた。
おまけに高3の時に受験勉強で座りっぱなしだったため、ケツにニキビができて、今もその跡が残っている。
グラビアアイドルのツルツルの尻を見ては「この子、絶対勉強してないわ」とブスのひがみの鏡のような発言をして、プロフィール欄に「横国卒」とか載ってるのを見ると、全身全霊でギャフンとなる私。
夫婦でどちらのケツが美しいか尻対決をしたら、アムロVSコンスコンぐらい、夫の完全勝利である。12機のドムをやられた敗者としては「おまえ、マジいいケツしてるな!」とガッチリ握手を交わしたいと思う。
我が夫はジョジョTシャツにジョジョバッジのついた帽子をかぶり、とても四十路とは思えない中二ファッションをしている。普通ならオタクっぽくなるが、夫の場合は承太郎っぽくなって、カッコいいのだ。
私の言う「カッコいい」とは「二次元から出てきたみたい」という意味である。
そんな夫は昔、ストⅡのサガットのコスプレで街を練り歩いたそうだが、通報されなかったのは「ガチでそういう人なんだな」と通行人に納得されたからだろう。
今も「破産したらボロボロの道着を着たホームレスになる」と宣言しているが、伝説の格闘家として尊ばれるかもしれない。
要するに、ファッションの要はボディなのだ。パリコレで珍妙な服がオシャレに見えるのも、スーパーモデルのボディがスーパーだから。
私もボディを磨きたいと思い、夫にキックボクシングの指導を受けたことがある。
「蚊も殺せないパンチとはこのことだ!」「拳に蚊が止まって血を吸われるぞ!」とディスられつつも、スタンドバッグを殴る蹴るするのは爽快だった。
が、やはり運動は長続きせず、「塗るだけで痩せるジェル」等に頼るのがデブの特徴だ。