在宅中、銀行や保険会社から営業の電話がかかってくる。テレオペの女性に「ご主人はいらっしゃいますか?」と聞かれるたび「うちに主人はいません」と答える。だって私は奴隷じゃないから。
41歳の私は“夫婦は主従関係じゃないから夫を主人と呼ぶのはやめよう世代”だ。だがFacebookを見ていると、同世代や年下でも夫を「主人」と表記する女子がいる。
なぜあえて主人と書くのか?丁寧語のつもり?育ちの良さやセレブ感を演出したい??
なんとなくだが、時給850円で働くフリーターの夫を「主人」とは呼ばない気がする。ということは「うちの夫は主人と呼ぶにふさわしい稼ぎがある」というアピールなのか???
夫を「旦那くん」「相方さん」と呼ぶのは「炊いたん」と同じようにイラッとするが、「主人」については「???????」と理解不能になる。
主人呼びする派は「いやそんな深く考えてないし」と言うだろうが、深く考えずに主人と呼ぶ感覚が理解できない。
私は「夫を主人と呼ぶか、それともここから飛び降りるか?」と聞かれたら、東尋坊からダイブしそうなほど「主人」に抵抗がある。他人から「ご主人は~」と言われるだけで中耳炎になりそうになる。
だって私は奴隷じゃないのだ。
Facebookで主人呼びする女子が「言葉には言霊があるから、子ども達の前では言葉づかいに気をつけたいですね」と書いていて「言霊があるから、主人はやめようよ!」とコメントしそうになった。
言葉は思想を表すものだ。主人呼びを聞いて育った息子や娘は「パパとママは主従関係なんだな」と刷り込まれるんじゃないか。
かつて日本の女は奴隷だった。三従(女は結婚前は父に、結婚後は夫に、夫の死後は子に従え)という言葉があり、自由に生きるなど許されなかった。女には選挙権も被選挙権なく、妻の財産は夫に管理されて、あらゆる行為に夫の許可が必要だった。子どもを産めない女は一方的に離縁されたりもした。
先人たちの努力のおかげで、ようやくここまで来たのだ。
だから私は「フェミw」「意識高い系ww」と揶揄されてもかまわない、「うちに主人はいません」と言い続けるつもりだ。