手術後のある決意

テトラポットの画像

 そんな原付レベルの私も手術2日後にはドラスティックに回復して、3日後には普通に歩けるようになった。腹に力を入れた時や、咳や屁をした時以外は痛みもあまり感じなくなっていた。

その時の日記には「友達が手術をして立ち会う人がいなかったら、絶対に立ち会おう。そして術後2日間は付き添おう」と決意が書いてある。

というのも、友達は気をつかって回復した頃に見舞いに来てくれる。それもすごくありがたいが、回復後は痛みも減って気力も戻るので、1人でもわりと平気なのだ。もっとも心身が弱るのは手術当日とその直後なので、そばにいてサポートしたい。

この決意は1年たった今も記憶に刻まれている。

回復後の入院生活は特にやることがない。

「ヒマすぎてつらかった」という話をよく聞くが、私は痛みには弱いがヒマは得意なので、ボーッと考え事したり、本を読んだり、エロBLで悪魔将軍を潤したりと、快適に過ごしていた。病院は明るく清潔で、窓から海や山も見えて、のんびりリゾート気分を味わっていた。

仕事用のノートパソコンも持参していたが、一度も開かなかった。やっぱり私は女社長にはなれない。

ちなみに私は不潔も得意なので、5日間シャワーを浴びられないのも平気だった。夫に「締切中は3日風呂に入らないとかザラだからな!」と自慢すると「そういう時のポンチさんは、テトラポットの匂いがする」と言われた。

アル「キミの足もウォッシュ系のチーズみたいな匂いがするぞ」

夫「だが俺は毎日風呂に入っている」

足のクサい夫は毎日、病院に来てくれた。彼は愛猫の介護の時もかいがいしく世話をしていた。

「病める時も健やかなる時も」と言うが、結婚は病める時ベースで考えるべきだろう。

つらい時に支えてくれない伴侶などいない方がマシだ。そんな相手と結婚しても孤独とつらみが増すだけだし、「無縁仏に、俺はなる!」と俺は思う。

順調に回復したため、手術の7日後に退院した。

個人差があるだろうが、私は術後の経過がよかった方だと思う。退院して3日目には早足でスタスタ歩けるようになり、毎日30分のウォーキングを始めた。

「せっかく子宮もとったし、健康になって、ついでに痩せよう!」と意識が高くなっていたのだ。

そして3ヶ月後にはホットヨガに通い始めた。インストラクターの「心を空っぽにして大地と繋がりましょう…」という声を聞きながら、だいたい金とメシのことを考えていた。

月の半分が生理で貧血気味だった頃は運動もできなかったが、体を動かすようになって、体力もついたし体も引き締まった。

しかし1年たった今は、ヨガもウォーキングもさぼっている。理由は「面倒くさいから」。

子宮をとっても人間の中身はそう変わらないものだ。