専業主婦がこわい
やらしー話が大好物な私は、お察しの通り、久々に再会した友人であるにも関わらず、気になりすぎて彼女の最高月収をきいてみました。うん、だろうね!って感じの、目ん玉が飛び出る金額でした(正直に教えてくれた彼女もすごい)。
ふんわり言うと「ブレイクしたなー」って感じのお笑い芸人さんのそれと同じくらい。すげー。ガチ成功者じゃん。羨ましい。
そんな彼女の口から、「専業主婦が怖い。ママ社会で、一番ヒエラルキー高いのは専業主婦だもん」という言葉が滑り落ち、私はキョトンとしてしまいました。
いやいやいや、そんなことないでしょ。自立してて、稼いでて、業界で名前が知られてて、それに何しろ自分がずっとやりたかった夢の職業に就いてるんだから、あんたが一番の勝ち組でしょ。胸張って歩いてるでしょ。
「でも、私が住んでるエリアでは、私なんか専業主婦よりもヒエラルキーが下。シンママだし、朝から晩まで働いててかわいそう、って思われてるよ」というのです。
えっ、なんで? なんでこんな活躍してる相手に向かって、どんな立場から「自分より下」だなんて格付けができるの? 混乱する私に、彼女はシンプルに言い放ちました。
「彼女たちには、男に“選ばれた”というプライドがあるんだよ」と。
その言葉が、彼女の最高月収よりも私の心に響いてしばらく突き刺さっていました。
先日、高畑勲監督の追悼記念でジブリの『かぐや姫の物語』が放送されており、私も懐かしく視聴していたのですが。
ご存知の通り、これは日本文学の古典、竹取物語をアニメ化したものであり、絶世の美女としてこの世に生まれてきたかぐや姫に求婚する男たちが登場します。
かぐや姫には、その美しさに比例して言い寄ってくる男たちもハイクラスな男性ばかり。
中でも、“ミカド” (文字通り天皇のこと)という強烈なキャラクターが出てくるのですが、その有名なセリフで、「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」というのがあります。
どういうわけか彼は異様に尖ったアゴ、という独特なキャラデザインにされており、いわゆるディズニープリンスのようなスイートなルックスとはかけ離れた姿で描かれています。その尖ったアゴでかぐや姫を傷つけるんじゃないの?それって何かのメタファーなんじゃないの?とでも思わせるように。
そんなアゴで、「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」と放つのです。なかなかゾッとするシーンであり、この時代の、というか、男性社会の常識では、 彼のように権力のある男性に選ばれることが、女性にとって最高峰の幸せだということになっている、というどうしようもない圧力を感じさせるセリフです。